秋をさがしに ー Y家の場合 ー
空気が少しずつひんやりしてきて、秋の訪れを感じるようになりました。目にも心にも楽しい季節ですね。
歩いていると、子どもたちが好きそうなものが、いろいろと目にとびこんできます。
ころんとしていたり、スマートで細長かったり、さまざまな形のどんぐり
とげとげの栗
緑黄茶赤のグラデーションが美しい落ち葉
落ち葉を踏みしめたときのパサッパサッという音とその感触
澄んだ高い空
そして、秋のにおい
大人にとっては目的地にたどり着けなくて、やきもきすることも多いものですが、時には子どもの視線に導かれ、季節の移ろいを感じてみてはいかがでしょうか。
さて、そんな“秋さがし”について、以前も登場してくださったYさんが、記事を寄せてくださいました。Y家では、どんな“秋”を見つけたのでしょうか。(Y家の以前の記事はこちら▶)
********************************************
「ほら、ここにあるよ~」
娘の嬉しそうな声が聞こえてきます。
やっと涼しくなってきたので、家族でキャンプにでかけることにしました。娘は自然のなかで遊ぶのが大好き。テントをたてる手伝いもそこそこに、早く散歩にでかけようと急かします。
森のなかの散歩。
子どもの想像力にかかれば、道に落ちているものはどんなものだって、遊び道具に早変わり。この日は、細い木の棒を見つけては、きれいに紅葉した落ち葉を選んで差し、落ち葉のバーベキュー串を作っていました!3本くらい作ったところで、父親をまねてか、焚き火台作り。ちょっと大きめの石で台のようなものを作り、小枝を集めて焚き火を表現していました。
その想像力、母はちょっと羨ましいです(笑)
焚き火台を完成させたあと、また散歩にでかけた娘。今度は地面にしゃがみ込み、なにやらまじまじと見つめています。そして戻ってきた娘の手のなかにはいくつかのクヌギの実。
「わぁ~見つけたの?きれいだね。いっぱいあった?」
そう聞くと手を引いて、クヌギの実があったところへ連れて行ってくれました。茶色の実もきみどり色の実も、地面をよく見つめると枯葉の間に隠れるように落ちています。
ここからは私も夢中になって探し始め、大きいものやきれいなものを見つけてはお互いに見せあいっこ。
自分の発見を「あのね、茶色の子はぼうしをぬげるけど、きみどりの子はぼうしがぬげないよ」などど、木の実を子どもに見立てて話してくれます。
そこでふっと思い出したのが、配本で届いていた『どんぐりぼうやのぼうけん』です。
あの子たちもかわいいぼうしをかぶっていたっけ。
みんなそれぞれに木や葉っぱ、実の特徴を捉えたぼうしや洋服を着てたなぁ。
娘は最後のパーティーの場面が大好きで「そろそろ寝よう?」といくら声をかけても、ジーっとその絵をみつめていたなぁ。
日々の生活のなかでも思いだす、娘と絵本との楽しい思い出。
娘の頭のなかでは、手のひらの上にのせているクヌギの実も、どんぐりぼうやのオッケやピレリルと同じようにかわいい妖精の一員なのかもしれません。
********************************************
絵本の世界と実体験が重なりあうと、思い出がより深く、より豊かに色づくことでしょう。
皆さんも、“身近な秋”を探しに、出かけてみてはいかがでしょうか。
『どんぐりぼうやのぼうけん』
さく・え エルサ・ベスコフ
やく 石井 登志子
童話館出版 ▶詳しくみる
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「大きいくるみ」(およそ4~5才)
この記事をシェアする