祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

平塚武二の世界

9月に入り、だいぶ涼しくなりましたね!

そろそろ読書の秋・・📖

というわけで、本日は、

大人にも 読みごたえのある

昔語りの絵本を ご紹介します。

 

左:「馬ぬすびと」福音館書店 右:「絵本玉虫厨子の物語」童心社
共に、平塚武二・作/太田大八・画

「馬ぬすびと」

一見、とっつきにくそうですが、

馬ぬすびと 九郎治の 告白で始まる

最初の一文から、ぐぐっと

物語の世界へ 引きこまれます。

憧れの野馬を 自由にするため

ついには打ち首になる 男の数奇な人生・・!

鎌倉時代、貧しい百姓が 宿屋の馬番になり、

いくさ用に野馬を狩る 侍に怒り、

源氏と平家の間で 馬を売り買いする

馬ぬすびと になり・・・

切ない展開に 目が離せません🐎

子馬の頃から 見守っていた 野馬と、

最後に一瞬だけ 心を通わすシーンは、

何度読んでも、胸に迫ります!

時折 あらわれる、太田大八さん画の

躍動感あふれる 馬の絵のページが、

更に 骨太な物語を ひきたてます。

童話館ぶっくくらぶの10~11才コースに

入っていますが、

自分で 表紙を見ただけでは、

手に取らなかったと 思うので、

この作品に出会えて 幸運でした☆

 

「絵本玉虫厨子の物語」

こちらは、奈良時代、

法隆寺の玉虫厨子を 作った

若い仏師の 物語。

玉虫厨子そのもの のような

ため息の出るような 美しい絵本です。

若麻呂は、美しい おとめ との

結婚を 許してもらうために、

仏師として 名をあげようと

仏像を入れる 厨子を 作り始めますが・・・。

一心不乱に 美しいものを 追い求めるあまりに、

いつしか おとめよりも 厨子に貼る

玉虫に 魅せられてしまいます。

ついには 全ての虫の中に 神や仏を見出し、

野山を かけ巡るうちに、姿を消してしまう、

芸術家の 狂気にも似た魂を 描いた作品。

当館で、何度か 原画展を したことがあります。

 

歴史ものは ちょっと・・という方も、

平塚武二さんの 入りやすい語り口&

太田大八さんの 日本画のような

美しさと荒々しさを 兼ね備えた絵で

彩られた、この2冊は、

きっと 読みだしたら

はまってしまうと 思います。

 

実際に 存在したかもしれない、

あるものに魅せられて、心血をそそいだ 男たちの一生を、

ぜひ 一緒に 体験してみませんか。

 

ぜひ 男の子にも読んで欲しい スタッフFでした☆