トムテ 冬の小人のおはなし
今日ご紹介するのは
静かな静かな冬の夜のおはなしです。
タイトルにもあるこのおはなしの主人公「トムテ」は
北欧の人々に親しまれてきた小人のことをいいます。
スウェーデンではトムテ、ノルウェーやデンマークではニッセと呼ぶそう。
トムテは農家の納屋やうまやにひっそりと住んでいて
人間に見つかりそうになると隠れてしまう、
おくびょうで恥ずかしがり屋さんの小人。
決して悪さはしないので、
大事にすれば住み着いた家の人々を幸せにしてくれるんだそうです。
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物語はしんしんと雪のふる、ある夜に始まります。
めうしやうま、ひつじやおんどりが寝静まった農場で
なにやら考え事をしながら小屋の安全のため見回りをするひとりのトムテ。
ひとはどこからくるのだろう。
にぎやかに、たのしくくらし、としおいて、
やがてどこへいくのだろう。
たきはどこへながれていくのだろう。
みなもとはどこだろう。
「わしにはどうも、よくわからん。」
時を刻みながら生きる人間や
季節が変わると、時期にあわせて世界中を旅する渡り鳥。
永遠に流れ続ける川やしんしんと降る雪。
そのどれもが、ひとり静かに同じ場所で生き続けるトムテには
不思議でならないのです。
実はこの絵本のおはなしは19世紀、
スウェーデンの詩人リードベリが発表して以来
今日までひろく愛されている詩で
今も毎年年末になるとスウェーデンのラジオで朗読されているそうです。
雪国出身の私は、この絵本の静かな冬の情景が大好きで
絵を眺めているだけでも懐かしいようなせつないような
不思議な感覚になります。
トムテの優しさが、おはなしに書かれていなくても伝わってきて
クリスマスのお話ではありませんが
ぜひこの時期に、大切な人や自分への贈り物として
この絵本を手に取ってみてほしいなあと思います❅
スタッフMでした⛄