チリン カラン… すずやかに鐘を鳴らして ケーブルカーの日
みなさんには好きな乗り物はありますか?
わが家の娘に聞くと「船!」という答えが返ってきました(笑)(私が船酔いするせいで、いつも船を避けているからでしょうか…。)
乗りものが好きなお子さん(もちろん大人も!)もたくさんいらっしゃると思います。夏休みに新幹線や車、飛行機、電車など、大好きな乗りものを楽しんだお子さんたちもいることでしょうね。
さて8月29日はちょっと珍しい乗りもの、ケーブルカーの日です。
今から107年前の1918年(大正7年)、生駒鋼策鉄道(いこまごうさくてつどう)が奈良県生駒山で、日本初のケーブルカーを運行したことから、制定されました。
日本のケーブルカーといえば、主に山岳の急斜面を上下するために、車両が繋がれた鋼策(ケーブル)を、ウインチなどで巻き上げることで運行する鉄道のことを指します。ケーブルカーは動力がないため自走できず、繋がっているケーブルをひっぱってもらうことで動いています。和歌山県の高野山にある『高野山ケーブルカー』は、「交走式(つるべ式)」(1本の長いケーブルの両端に車両が1編成ずつ取り付けられ、井戸のつるべのように片方の車両が引き上げられると、もう片方の車両が下りてくるという仕組み)で動いているそうです。
海外に目を向けてみると…
英語では「Cable Car」と表記し、日本と同じようにケーブルカーを指す場合もありますが、ロープーウェイを指すこともあるそうです。アメリカでは、サンフランシスコ・ケーブルカーのように、軌道下で常に動いているケーブルを車両が掴んだり放したりして動く「循環式ケーブルカー」を指すそうです。
さて、ケーブルカー?サンフランシスコ?なんだか聞いたことがある、もしくは思い出すお話がある、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうです、ケーブルカーが登場する絵本がありますね。童話館出版の『坂の街のケーブルカーのメイベル』です。「童話館ぶっくくらぶ」からの配本でお手持ちの方もいらっしゃることと思います。
『坂の街のケーブルカーのメイベル』はサンフランシスコに現存するケーブルカーをモデルに描かれた絵本です。
ずいぶん前に生まれたケーブルカーのメイベルは時の流れとともに街の移り変わりを見守ってきました。いつの時代も自分の仕事に誇りを持って、街の人々のために働くメイベル。
しかし、そんなメイベルの存在をうとましく思うバスのビッグ・ビルは、メイベルに市会議員たちがケーブルカーの廃止を検討しているという悲しいニュースを知らせます。ほどなく、街の人たちも市会議員たちの計画を知り、賛成派と反対派に分かれて住民投票を行うことに!
メイベルたちは一体どうなってしまうのか…、
続きが気になる方はぜひ絵本を読んでいただければ嬉しいです。
バートンの描く絵はとてもやわらかで、ケーブルカーの仕組みについても詳しく書いてあります。そして、ケーブルカーやバスに目や口といった顔があるわけではないのですが、ちょっとした線や丸で表情があるように見えるのがとてもおもしろいです。娘のお気に入りは決戦投票の結果が決まるページのビッグ・ビル。なんだか愛らしいのでぜひ見てみてくださいね。
バートンの絵本はこの他『ちいさいおうち』(岩波書店)や『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』(童話館出版)、『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』(福音館書店)など、有名な絵本がたくさんあります。こちらもあわせてお楽しみください。
(担当:A)
『坂の街のケーブルカーのメイベル』
バージニア・リー・バートン/文・絵
秋野 翔一郎/訳
童話館出版 ▶詳しくはこちら
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「小さいりんごコース」(およそ9~10才)
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