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童話館スタッフ思い出・イチオシ この1冊 第10回


 

 

 

新年度が始まり、数か月ほど経過しようとしていますが、環境が変わった方々も少し落ちつかれたでしょうか。

わが家でも、春から娘が大学生になり、自宅をでていきました。受験、入学手続き、引っ越しとあわただしい日々が続いていたため自覚していませんでしたが、気づいたら夫とふたり。静かな日々が始まっていて、今、じわじわと寂しさがこみあげてきているとこです。

 娘はでていきましたが、さいわい想い出はたくさん残っています。特に、本棚に並んでいる、親子で一緒に楽しんだ絵本、本には、それぞれ想い出があります。どれも楽しい思い出なので、1冊に決めるのはとてもむずかしいのですが、今回はぜひ、『ずどんと いっぱつ すていぬシンプだいかつやく』「大きいさくらんぼコース」(およそ6~7才)をご紹介したいと思います。

 

みにくい子犬のシンプはもらいてが見つからず捨てられてしまいます。食べものをさがしてさまよい、野良猫に追いかけられたり、野犬狩りにつかまったり…さびしい、こわい思いをしながらシンプがたどり着いたのはサーカスでした。そこでやさしいピエロのおじさんに出会いますが、おじさんもまたサーカスをクビになりそうな状況で…。
出会ったふたりが、勇気や機転で自分の居場所をつかんでいくお話です。

 

娘には、小学校3年生ぐらいまで、選んできた絵本を、毎晩寝る前に読み聞かせしていましたが、この本は特によく選んで持ってきていた1冊でした。
ふだんは、絵を見ながら話したり、読んでいる私に話しかけたりと、どちらかというとにぎやかに絵本を楽しむタイプの娘も、この絵本にかんしてはようすが違っていて…。

主人公のシンプが暗いゴミ捨て場に「ぽい」と捨てられる冒頭のシーンから、次々におこる心配なできごとに、娘もまた不安そうに見つめていたものです。でも、シンプが周りから受け入れてもらえるようになり、少し安心できる展開になると、今度はほっとした表情に変わり…そして、最後はいつも「シンプよかったね!」と言いながら、安心して眠りにつく。
ですから、この絵本を見ると、シンプと一緒にハラハラドキドキしたり安心したりと、絵本の世界にすっかりはいり込んでいる娘の表情を思いだすことができます。

 

このように、絵本、本を読んであげていた時間は、親の私にとっても、子どもとの大切で貴重な時間でした。そして今も、本棚を見ると、そんなさまざまな思い出がよみがえってきて、懐かしい気持ちにしてくれたり、さびしさを癒してくれたりします。

夏休みに娘が帰省してきたら、また一緒に絵本の話をしてみようと思います。

(担当:J)


 『ずどんと いっぱつ すていぬシンプだいかつやく』

   ジョン・バーニンガム/文・絵
   渡辺 茂男/訳
   童話館出版 ▶詳しくみる
 

 「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース  ▶「大きいさくらんぼコース」(およそ6~7才)

 

 

 

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