霜降

長かった猛暑の日々から、やっと秋めいた風を感じられるようになってきました。
ちょうどこれからの時期、秋から冬にかけて冷えこみ、霜が降りる時期のことを表す「霜降(そうこう)」という言葉があります。これは二十四節気のひとつで、今年は10月24日~11月7日ごろにあたり、秋の深まりを感じ始める時期です。
秋といえば、皆さんはどんな光景や楽しみを思い浮かべますか。
私の秋の楽しみは、なんといっても旬の食べものです。なかでも“さつまいも”は、ビタミンや食物繊維が豊富で、煮ても蒸しても焼いてもおいしいので、わが家では常備しています。
そういえば、この時期は、動物たちも冬に備えて食べものを蓄える準備を始めるころですね。
今回ご紹介の絵本『フレデリック』(「小さいみかんコース」およそ7~8才)は、そんな季節にぴったりの1冊です。
ねずみの仲間たちが冬の準備に忙しく働いていますが、フレデリックは何もせず、じっとしてばかり。
生きるために必要な食べものを集めている仲間たちは、フレデリックに「どうしてきみは、はたらかないの?」とたずねます。フレデリックは「“おひさまのひかり、いろ、ことば”をあつめているんだ」と答えます。
やがて冬が訪れ、食料が尽きたとき、フレデリックがあつめていた言葉や色の記憶が仲間たちの心を温めてくれるというお話です。
何度かくり返し読むうちに、フレデリックが本当に集めていたもの(形はないけれど、生きていくために大切なものや考え方)が見えてくるようで、私にとって味わい深いお気に入りの絵本になりました。
あわただしい一日の終わりに、ほっと一息つきながら、読んでいただくのもおすすめです。
日照時間が短くなり、寒くなるこの季節は、お家で過ごす時間も長くなります。
秋のおいしいものを食べ、ゆったりと絵本を楽しみながら、霜降の時期ならではのひとときを楽しんでみてはいかがでしょうか。
(担当:U)
『フレデリック』
レオ=レオニ/作
谷川俊太郎/訳
好学社
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「小さいみかんコース」(およそ7~8才)
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