シリーズ〈今月の1冊〉- 2026年3月『わたしの て』

今月の1冊は、『わたしの て』(「大きいいちごコース」およそ2~3才)をご紹介します。
この絵本は、1979年にアメリカで産声をあげました。なんと、私と同い年です。あたたかみのある懐かしい色合いにポップな色が混ざり合うすてきな絵本です。
この絵本の主人公は「て」です。
ふだんなにげなく使っている「て」ですが、この絵本を読むと、「て」にまつわるいろいろな想いが呼びおこされます。
「わたしの ては、こんなことが できます。
ボタンを とめる。
ファスナーを しめる。
ひもを むすぶ。」
私は、いつこれらのことができるようになったのだろう、できたときの喜びはどんなふうだったのだろうと想像します。そのころにこの作品と出会っていたら、“これはできる”と嬉しくなったり、“これができない”とむしゃくしゃしたり、“これもできるようになりたい”などと感じていたのでしょうか。
絵本と出会うタイミングは、人それぞれ。出会ったときが、ベストタイミングなのだと思いますが、そのころに出会えていたら…とつい考えてしまう1冊です。
私には、高校生と中学校入学をひかえた息子がいます。あんなに小さくて、かわいらしかった「て」も、すっかり大きく成長しました。
運動のクラブに所属している次男は、練習中や試合中に、仲間がナイスプレーをしたときや失敗してしまったとき、力を合わせようと鼓舞するときに、「て」を合わせたり、背中を押したりしています。「て」は声を掛け合うことと同じくらい大切なコミュニケーションになっているようです。
大きくなった「て」を見ると、成長を喜ぶ気持ちが湧きあがるとともに、「幼いころは、かわいくて愛らしかったのよ」と心のなかでつぶやきたくなることもあります。
さて、この絵本のラストには、私のいちばん好きなフレーズがあります。
「わたしの ては、たくさんのことが できます。
なかでも、いちばん すてきなのは」…。
このあと、どのような言葉が続くと思いますか。
それは、絵本を手にしてからのお楽しみにしたいと思います。
(担当:E)
『わたしの て』
ジーン・ホルゼンターラー/作
ナンシー・タフリ/絵
はるみ こうへい/訳
童話館出版 ▶詳しくみる
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「大きいいちごコース」(およそ2~3才)
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