熊のプーさん~石井桃子さん②~
前回に続いて、
没後10年の石井桃子さんについて。
今回は、翻訳活動をご紹介♪
さて、先日スタッフMさんの
ブログにも登場した、くまのプーさん。
世界中で愛されるこの作品を、
日本で初めて翻訳したのが、
石井桃子さんです。

左から「絵本クマのプーさん」「クマのプーさん プー横丁に立った家」岩波書店 A・A・ミルン/作・E・H・シェパード/絵・石井桃子/訳
「プー横丁に立った家 洋書版」輸入卸元・絵本の家
女子大卒業後、文藝春秋に入り、
創立者の菊池寛の元、総理大臣の
犬養毅家の書庫整理を任された
石井桃子さんは、1933年のクリスマス、
子ども達へプレゼントされた、
くまのプーさんの原書に出会います。
訳しながら読み聞かせたところ、
子ども達に大受け!
何よりもご自分自身がハマってしまい、
「幻の赤い実」のモデルにもなった
病気の親友を励ますためにもと、
翻訳を続け、1940年、岩波書店から
翻訳デビュー作「熊のプーさん」、翌年 「プー横丁に立った家」を出版します。
私自身のプーさんとの出会いは、
小学生の時に叔母が
プレゼントしてくれた絵本。
まだ、独特のユーモアを理解する
には少し幼く、最初は
とっつきにくい印象でした。
本当に好きになったのは、
大人になって、最終話まで読んでから。
プーさんや個性豊かな仲間たちの
予想もつかない行動や会話に笑い、
クリストファー・ロビンが
プーや子ども時代と別れを告げる
シーンには、胸を打たれ…☆
石井桃子さんご自身も、
英国流のウィットにとんだ
言い回しを訳すのに、
ご苦労されてた模様。
例えば、プーの台詞で
happybirthday
(たんじょうびおめでとう)
をもじったhappythirthday。
(火曜日おめでとう)
→みなさん おかよう
(火曜とおはようをかけて)
と、絶妙な翻訳に!
その後も、新潮社、岩波書店で勤め、 欧米留学で図書館・出版社・作家の元で 多くを学び、帰国後は児童向けの 家庭文庫を作ります。
ピーター・ラビット、たのしい川べ、 バージニア・リーバートン、ブルーナ、 エリナ・ファージョン、ビアトリクス・ポター、 アリソンアトリーなど、数々の名作や作家を 日本に紹介した翻訳者として、また岩波少年文庫 などの初代編集者としての功績については、 下記の評伝に詳しく書かれています。

「ひみつの王国 評伝 石井桃子」新潮文庫 尾崎真理子・著
この評伝の第七章では、童話館も登場! 90歳を過ぎて、2002年に童話館出版から 再翻訳された「ビロードうさぎ」について、 前社長とのエピソードが載っています。

「ビロードうさぎ」童話館出版
文・マージョリィ・ウィリアムズ/ 訳・石井桃子
(洋書版も販売中!)
太宰治さん、村岡花子さん達との交流など、 逸話は尽きませんが、今回はこの辺で。 次回は、児童図書館活動について、 (いつか?)ご紹介します~📚
スタッフF