祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

『オレゴンの旅』

 

何も持たずに

旅をしたくなる瞬間が あります。

実際に 旅に出ることは

出来ないので、この絵本を読みます。

 

「オレゴンの旅」 らんか社
ラスカル(文)ルイ・ジョイス(絵)山田兼士(訳)

 

 「ねえデューク、

 ぼくを 大きな森まで

 連れていっておくれ。」

 

サーカスのクマ、オレゴンは

友達の道化師 デュークに言いました。

 

闇夜の晩、最後の演技をすませてから、

ふたりは遠くの大きな森をめざして

出発します。

 

 ぼくの赤い髪は風になびいて、

 ぼくは突っ切って行く、

 ヴァン・ゴッホの風景のなかを・・・

 もっと美しい場所へと。

 

表紙の絵、何も持たずに 静かに

森を目指す姿が 印象的です。

もっとも 好きな場面は、

カバンの底に、1ドル硬貨が2枚

残っていましたので、ぼくはそれを、

プラット川で水切り遊びをするのに使いました。

この、最後の硬貨の使い道が

私の心に残りました。

 

やがて大きな森にたどりつき、

オレゴンとの約束を果たしたデューク。

 

 今度はぼくの旅に出よう、

 なんにも考えずに、

 心を軽くして。

 

オレゴンとデュークの会話は、

最初の言葉だけ。

 

せつないのか、さびしいのか、ホッとしたのか、自由になった気分なのか・・・自分でも はっきりと分からない この余韻が好きです。 Iでした。