祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

『ガラスのうさぎ』

子どもの頃、初めて 読んだ 戦争と平和を 考える 本📖

小学校の3~4年の時に、両親に プレゼントされました。

戦争体験のない 私の中で、戦争というと

まず この本を 思い出します。

『新版 ガラスのうさぎ』 高木敏子 作/武部本一郎 画/金の星社 刊

 

作者の高木敏子さんの 実体験を綴った 物語。

東京の両国で ガラス工場を営む家に 生まれた 敏子さんは、

12歳の時に、東京大空襲で 母と妹2人、

神奈川の二宮駅での 機関銃掃射で 父を 失います。

焼け跡からは、溶けた ガラスのうさぎが・・・。

 

生活物資が 不足する中、

男物のお古の下着が 恥ずかしくて、

小花の刺繍を したら、

先生に ひどく 叱られた 小さな事件から 始まり、

 

特攻隊に向かう17歳の兄に 母のあんこ玉を 届けたら、

お汁粉にして「何年ぶりかなあ。・・・お母さんの味がする・・・」

と 喜んで食べて、後を頼む、と言い残す エピソード、

 

そして、いよいよ 本格的な 太平洋戦争へ・・・

 

何十年かぶりに 読み返したら、

最初のエピソードから 胸に刺さって、

なかなか 先に 読み進めませんでした。

子どもの頃は、さあ、読もう!と

覚悟を決めて、集中して

一気に読んでいた 気がします。

 

同年代の女の子が 体験する、戦時下の日本の

不安で 息の詰まるような 雰囲気や、

家族の死と向き合う 壮絶な体験、

ひとりぼっちの 疎開先での 慣れない田舎生活、

親身になってくれる 他人と 冷たい親戚、

終戦後に 少しずつ戻って来た 日常、

ようやく 少女らしく 学校生活を楽しめるようになり、

戦争放棄の憲法で 見えてきた 微かな希望・・・

 

戦争というものが どういうものか、

この1冊を 読み終える頃には、

しっかり 胸に 刻まれます。

 

敏子さん個人の戦争体験の手記ですが、

10代の子どもが 読む 物語として、

読みやすく 入りやすい 語り口で、

何度も 読み返しました。

 

ドラマ化や映画化もされた ロングセラーですが、

これからも 戦争を知らない世代の 子どもたちに、

ぜひ 読み継がれて いってほしい 作品です📖

 

スタッフF☆