あとかくしの雪❆
今日ご紹介する絵本は、
現在開催中の企画展「想いを馳せて…太田大八の世界」にて原画を
展示している「あとかくしの雪」です❅
昔、ある寒い冬至の晩のこと、
みすぼらしいなりのぼうさまが旅をしておりました。
途中、わらじをくれた水無し村のおじいに水を出したり、
泊めてくれなかった家の芋を全部石に変えたり…。
そして最後に、足が悪く、貧しいおばあの家へ着きました。
つかれたようすのぼうさまを、おばあは気の毒におもいますが
もてなすような食べ物はありません。
そこで、足を引きずりながら、隣の大きな家の大根をそっと1本運び、
焼いてぼうさまに出しました。
すべてを見ていたぼうさまが静かに呪文を唱えると
降り出した雪がおばあの足跡を消しました。
このぼうさまこそ、弘法大師であったということです。
❆ ❆ ❆
❆ ❆
おばあの思いやりの気持ちと、ぼうさまの優しさ、
それぞれの想いをとおして、
どこか寂しくもあたたかい余韻が残ります。
原画では、おばあが大根を運ぶようす、
しんしんと雪が降り積もっていくようすなど、
場面の静けさがよりいっそう伝わってくるようで
絵本のおはなしに奥行きを感じられます。
当館では、安心して原画の世界を味わっていただけるように
感染対策に努めています。
原画を観ながら、この静かな空間で
おはなしにも、その他自分自身や周りのことなど
想いを馳せてみてはいかかでしょうか❁
スタッフT