祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

うちの本棚より・・・オフェリアと影の一座

6月12日  長崎はいつ梅雨入りなのでしょうか・・・

というほどの良い天気 ☀

 

さて、この絵本は、

私の心に残っている たいせつな絵本です。

 

「モモ」「はてしない物語」で知られる

ミヒャエル・エンデが書いたお話。

「オフェリアと影の一座」
岩波書店 ※現在品切れ
ミヒャエル・エンデ(文)
フリードリヒ・ヘッヘルマン(絵)
矢川澄子(訳)

 

小さな 古い町にすむ、

小さな おばあさん、オフェリアさん。

かぼそい声の オフェリアさんの仕事は、

小さな劇場で 役者に セリフをささやくこと。

芝居が好きな オフェリアさんは、

一生 この仕事にうちこんで、とても幸せでした。

 

しかし、町の小さな劇場は 閉じられることに。

小さなオールド・ミスのオフェリアさんは おはらいばこ。

 

最後の公演で、最後の幕が おりたあと、

誰もいない舞台の奥に、

ふらふら のびたり ちぢんだり 影法師が・・・

影法師は「どうか追い出さないでください」と。

だれのものでもない『影』に

オフェリアさんはやさしく「あたしんとこはどう?」

と、引き受けます。

 

その噂を聞いて、

だれのものでもない、だれのものにもなれない『影』たちが

次々と オフェリアさんのもとに やってきます。

オフェリアさんは、ひとりもので 貧乏でしたが、

狭い部屋には 影たちが いっぱい住みつき、

そのうち、きゅうくつで 喧嘩をするように。

そこで、オフェリアさんは

覚えている たくさんの 名作のセリフを 口にします。

こうして、影たちは 世界の名作悲劇喜劇を 演じるように。

なにしろ『影』なので自由自在に 姿かたちを 変えられます。

オフェリアさんと影の一座は、

村から村へ、めぐりあるくようになりました。

大好きな芝居と、影たちと 世界中をめぐっていると、

ある日、

大きな大きな影が。

「あなたも だれのものでもないなら いっしょに きませんか?」

オフェリアさんの優しい言葉に、影は

「おれの名前は 死 それでも引き受けるかい?」と。

 

 

オフェリアさんは やさしく、

「どうぞいらっしゃい」

 

 

久しぶりに読み返して、

涙がでました。

やさしさと、さびしさと、すべてを受け入れる

とてもとても大きな心。

30年前からオフェリアさんはずっと私の心の中にいます。

 

とても幻想的な絵と物語に引き込まれながら、「優しさ」や「淋しさ」「受け入れる心」を考え直しました。Iでした 。