祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

ジェインのもうふ

「ジェインのもうふ」
アーサー=ミラー/作 アル=パーカー/絵 厨川圭子/訳
(偕成社)

 

 

ジェインは小さい頃からずっと大事にしているものがあります。

それは、毛布。

何度も洗ってだんだん薄っぺたくなってボロボロになっても

それでもその毛布と一緒じゃないと眠れません。

ジェインの心を落ち着かせて心地よい眠りに連れてってくれるのが

その毛布です。

 

スヌーピーに登場するライナスの毛布や

ブランケット・シンドロームという名前で

ちょっと有名になっちゃったこの症状。

このブログを読んでくださってる方の中にも

「わかるわかる!」って思ってくださってるかた

いらっしゃるんじゃないでしょうか。

実は私もうんと長い間、ピンクの毛布を手放せずにいたひとりです。

 

お話の中では、

いかにジェインが毛布を手放せないかではなく

小さなジェインがどんな風に少しずつ大きく育っていくかが

ていねいに描かれていて

大人になってからこの本を読んだ私は

まるで小さな姪っ子の成長を楽しみに見ているような気持ちで

読み進めていきました。

さし絵のジェインも文章と同じくらい

少しずつ成長していく姿がいきいきと描かれていて

とても魅力的なんですよ。

 

お話の最後の頃には、ジェインはもうすっかり背も伸びて

自転車で遠くまで出掛けたり

お菓子を作れるようになっていたり。

すっかり大きくなっています。

 

そんな風に大きくなったジェインは

毛布をどうするでしょうか?

 

物語は、とても素敵な結末を迎えます。

 

その時にジェインにおとうさんが掛けてあげる言葉は

毛布という物のことだけではなく

ひとが生きていくうちに何度も積み重ねられる出逢いと別れ

すべてに通じる言葉だなーって

ジーンとします。

 

自分だけの大切な毛布、

大人になってからもずっと心の中でぎゅーって抱きしめていたい!

誰でもみんなそんな気持ち、きっとありますよね。

出逢いと別れをたくさん経験した春が終わる頃、

読んで欲しい1冊です。

 

小学校に入ったばかりの年令のお子さんにおすすめの本ですが

ご家族が読んであげるならもう少し幼いお子さんにも楽しんでもらえそう。

もちろん、私のように大人になってから読んでも!

 

 

 

[スタッフ🌱FK]