祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

ジャーニー 国境をこえて

先日、テレビで ボローニャブックフェアの

紹介を していました。

その中で、気になったのが こちらの絵本↓

「ジャーニー 国境をこえて」きじとら出版
フランチェスカ・サンナ・作/青山真知子・訳

ジャーニー・・

英語で旅という意味ですが、

この絵本で 描かれているのは、

戦争で父を奪われ、国を追われた

母と子どもたちが、

車で国境を超え、森を歩き、

船で海を渡り、電車に乗り・・

 

そして いまだに 続いている

ながいながい 放浪の旅のお話 です。

 

テレビでは、洋書版を 紹介していましたが、

難民の親子の 厳しい現実を、

スタイリッシュで おさえめな

美しいグラフィックで 描いていて、

絵本として読んでも 充分楽しめそうでした。

20か国以上に翻訳され、

アムネスティCILIP特別賞など多数、

受賞しています。

 

買って読んでみて 心に残ったのは、

文章には出てこない部分。

ページの端に描かれた、

家を離れる時の 飼いネコとの別れ や、

眠っている 子どもたちを 抱きしめる

お母さんが 実は涙をポロポロ流している

場面など・・・

発見した時は、胸を打たれました。

戦争の影や 国境の怖い番人など

不安な心理描写も、子ども目線で

少しファンタジックな味付けが

されているので、さらっと読めます。

 

とりわけ 印象に残っているのは、

最後の ワタリドリに 乗って

旅を 続けるシーン。

まだ 旅は 終わってないんだ・・と。

国境のない 鳥のように、

いつか 安心して暮らせる地へ 飛んで行きたい

という 祈りが 込められたラストに、

切なさと かすかな希望を 感じました。。。

 

イタリア難民センターの 少女の話を

聞いて 作ったという 作者のデビュー作。

よかったら、ページを開いてみてください。

 

日本のような島国では、移民や難民のニュースを

身近に捉えることは なかなか難しいですが、

同じような 大勢の親子たちが、

いつか 何の心配もなく 笑って過ごせる

日々が くるように 願う

スタッフFでした・・・