祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

彼方へ・・

11月に入りました!

吹く風が冷たく感じられるようになり、

ようやく制服も冬服に。

今回は、読んでいるうちに、フ~っと

どこか別次元へ連れていかれるような・・

そんな3作品をご紹介します。

「星モグラサンジの伝説」理論社 作・岡田淳

まずは、人間語を話す変わった

モグラが作者に語った物語を・・

石や金属を食べ、水にもぐり空を飛び、

ついには宇宙にまで飛び出してしまう、

もぐら史に残るサンジの伝説☆

こちらは、童話館ぶっくくらぶのコース

でも常連の、岡田淳さんの作品です。

何ものにもとらわれず、けた外れのスピードで、

やりたいことを突き進めていくサンジの姿は、

とにかく痛快!

読み進むうちに、自分も枠が外れて、

どんどん解放されていく気分に♪

 

「ねこはしる」童話屋 作・工藤直子

2作品目は、詩人の工藤直子さんによる

散文と童話の中間のような1冊。

内気な子ねこランが、

「のはらうた」の自然たちに

優しく見守られながら成長する前半、

魚と親友になって、運命の決断を

するまでの、緊迫した後半の疾走感!

何度読んでも、切なく潔い結末に

胸がいっぱいになって、深い深い

余韻がいつまでも残ります・・・

 

「かもめのジョナサン」新潮社文庫
リチャード・バック 作/五木寛之 訳/ラッセル・マンソン 写真

最後は、星モグラサンジの伝説を

初めて読んだ時に、この作品に似ている!

と思った、大人の寓話。

「われわれは自由なんだ。

好きなところへ行き、ありのままの

自分でいていいのさ」

という一文に魅かれて読んだ

10代の頃は、自由な空気を

感じたのですが、

今回読み返してみると、ちょっと

哲学的な堅苦しさも・・

人それぞれ、また読む年齢によって

印象の違う本かもしれません。

 

3作品はどれも、仲間と力を合わせて

何かを成し遂げる物語ではありません。

サンジ、ラン、ジョナサン、

それぞれ性格は全く違いますが、

群れから外れて、孤高に自分の

やりたいことや信じていることを

突き詰めていくうちに、

もう一つの彼方の世界を知る・・

 

憧れと勇気をもらえる1冊です。

スタッフF