シリーズ〈今月の1冊〉- 2025年8月『ねこのオーランドー 海へいく』

8月中旬、まだまだきびしい暑さが続いていますね。
皆さんは、この暑い毎日をどのようにお過ごしでしょうか。なかには、長期休みを利用して遠出をした人や避暑にでかけたというご家庭もあるかもしれません。
今月ご紹介するのは、そんな暑い夏にぴったりの『ねこのオーランドー海へいく』(「大きいみかんコース」およそ8〜9才)です。
ねこのオーランドー、おくさんのグレイス、三びきの子ねこ(三毛ねこのパンジー・白ねこのブランシュ・黒ねこのティンクル)のオーランドー一家。
夏の暑さにすっかりばてて、顔色も悪く、食欲までなくしてしまった家族のために、オーランドーは海に連れていく計画をたてます。けれど、ホテルは予約でどこもいっぱい。でも、そこへ馬のバルカンがやってきて、海辺の街オウルバロウへ誘ってくれます。さて、一家は…? バカンスにでかけた一家におとずれる出会いとハプニングがユーモアたっぷりに描かれます。
大判のサイズに、なかなかの文章量と、ボリュームたっぷりの作品ですが、表情豊かな動物たちの姿、美しい情景描写と、豊かな水彩画の力のおかげで、あっというまに読み進めることができます。読んであげる大人は少しだけたいへんかもしれませんが、子どもたちはきっと、物語の世界に夢中になって楽しんでくれることでしょう。
特に、私が気に入っているのは、一家が浜辺で、たくさんの人たちのなかで思い思いに過ごす頁です。
見開きには、オーランドーとグレイスがひとつのいすに仲良く並んで座っている姿やくつろいでいる表情、馬のバルカンが寝っ転がって本を読んでいる姿、小馬の「キューピット」が女性がかぶっている帽子についている花をむしゃむしゃ食べているようす、凧揚げをしているおじさんや、バルコニーから外をながめている人など、とにかくすみずみまで細やかに、ユーモアたっぷりに描かれていて、眺めるだけでとにかく楽しい!いえ、ほかの頁もおすすめです。
皆さんもぜひ、オーランドー一家の夏のバカンスの行く末を見守ってみてください。
この「ねこのオーランドー」は、作家のキャスリーン・ヘイルが、自身の飼い猫をモデルにして作ったお話で、じつはシリーズにもなっています。
シリーズ第1巻めは、1938年に誕生した『ねこのオーランドー』、そして童話館出版から出版している『ねこのオーランドー海へいく』と『ねこのオーランドー農場をかう』、そして近年、好学社からほかの作品も出版中です。
「こどもの本の童話館公式オンラインショップ」では、オーランドーシリーズをすべてまとめて購入することもできますので、ぜひのぞいてみてくださいね。
皆さんの夏も、思い出に残る楽しい時間になりますように!
(担当:K)
『ねこのオーランドー 海へいく』
キャスリーン・ヘイル/作・絵
小沢 正/訳
童話館出版 ▶詳しくみる
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「大きいみかんコース」(およそ8~9才)
「こどもの本の童話館公式オンラインショップ」 ▶詳しくみる
この記事をシェアする
