シリーズ〈今月の1冊〉 - 2024年11月『グリムの昔話(2)』
シリーズ今月の1冊で、今回ご紹介する11月の本は、「小さいりんごコース」の『グリムの昔話(2)林の道編』です。
11月に入り、カレンダーをめくると残りあと1枚…。「え?今年は何をしたんだっけ?」と思うくらい月日が経つのは早いものですね。
さて、今月も配本の絵本・本のなかからおすすめの1冊をご紹介します。どの作品にするのかとても悩みましたが、昔から大好きな作品に決めました!『グリムの昔話(2)林の道編』です。
『グリムの昔話』と聞けば、皆さんは何のお話を思い出しますか。
『おおかみと七ひきのこやぎ』『かえるの王さま』『赤ずきん』『長ぐつをはいたねこ』など自分が子どもの頃に読んでいたお話も数多くあります。
そもそもグリム童話とは、というと。
兄 ヤーコプと弟 ヴィルヘルムのグリム兄弟がドイツ国内から集めた昔話を編纂した物語集です。2人は「メルヒェン(昔話)は民族の宝物なので、書きとめて後世に伝えたい」という思いを持ち、長い間ドイツ中を歩き回り、昔話を収集しました。その多くは直接口伝で聞き集めたといわれています。正式なタイトルは『子どもと家庭のメルヒェン集』で、1812年に初版第1巻(86編)、1815年に初版第2巻(70編)が刊行されました。その後、版を重ねるごとに見直しが行われ、1857年に出版された第7版(200編)が決定版とされています。
第7版に拠った『グリムの昔話(2)林の道編』には、よく知られているお話など23編が収録されています。『ヘンゼルとグレーテル』『白雪姫』『いばら姫』『灰かぶり(シンデレラの名前で知られています)』などなど。
童話館では昔話のカテゴリーをだいじにしており、なかでも『グリムの昔話』はとても大切にしている作品です。童話館出版の『グリムの昔話』は、お話の深さや伝えたい内容、年令を考慮して3つにわけられ、『野の道編』『林の道編』『森の道編』としてまとめられています。
私は子どもの頃から昔話が大好き!小学校5年生の頃、1年間だけ設立された“読書クラブ“(翌年には廃部。おそらく人数が少なかっためか…。当時5人のみ在籍笑)に入っていました。週に一度あるクラブ活動の1時間は、図書館の本をひたすら読むことができる至福の時間でした。私は「この1年は昔話を読む!」と決め、グリム童話集やアンデルセン童話集、アイルランドの昔話、イギリスの昔話、ペロー童話集、日本昔ばなし(これが一番怖かった…)、ギリシャ神話、北欧神話などを読み漁り、福福とした時間を過ごしました。
昔話のなかには、お話のなかにそっと忍ばせた子どもたちに伝えたい“何か“があります。それは今も昔も変わらず、人間として生き抜いていくための知恵だったり、勇気だったり、励ましやちょっとしたおかしさだったり。それは私が大人になった今でも、日常のなかでひょっこり顔をだし、目の前の景色を豊かに変えてくれる力を持っているように感じます。
ぜひこの本を通して、かわいらしく脚色されたものではなく、本物にふれ、先人たちからの大切なプレゼントを受け取ってほしいと思います。
(担当:A)
『グリムの昔話(2)林の道編』
矢崎 源九郎・植田 敏郎・乾 侑美子/訳
川端 強/編集
童話館出版 ▶詳しくみる
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「小さいりんごコース」(およそ9~10才)
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