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チンチン電車の日 -8月22日 長崎探訪番外編


チンチン電車の日

 

長崎市内の中心部では、今なお「チンチン電車」が走っています。
山に囲まれた市街地を緩やかに走るその姿は、「ああ、長崎だなあ」と思える、大好きな光景のひとつです。

「チンチン電車」の名称は、かつて運転士が「出発進行」の合図にベルを「チンチン」と2回鳴らしていたことに由来しているとか、警笛の音が「チンチン」という音だからとか、イベント時に「チンチン」鳴らしていたからとか、諸説あるようですが、確かに今でも「チンチン」という音は鳴らしているような気がします。

さて、この電車が長崎の街に開通したのは、今から100年以上前の1915年(大正4年)。
はじめは今よりもだいぶ短い区間から始まり、その後、徐々に路線を拡大していったようです。1945年8月9日、あの原子爆弾が投下された日も走っていたのですね。そして今なお、通学通勤の足としてはもちろん、多くの観光客に親しまれています。

 

それにしても、これほどの歴史がありますので、少しずつ変化し、地元民ならではの「あるある」ネタもたくさんの「チンチン電車」。
そこで今回は、「地元民ならではの“チンチン電車”あるある」をご紹介したいと思います。

 

【昔】「あのころはね〜そうやったとばい!」

・どこまで乗っても大人ひとり100円(子ども50円)だった。
 (ちなみに今はどこまで乗っても大人140円!開通当初は「1区間1銭」だったとか…。)
・両替をしたいときは、停車中の運転士さんに「両替お願いします!」と伝えると、運転士さんが、 
 黒くて大きなガマ口のバッグから、薬袋のような袋をだしてくれ、そのなかに小銭が入っていた!
 両替の金額や、子どもか大人かによって、100円玉5枚入りとか、10円玉が5枚と50円玉が1枚
 入った100円のものとか、を渡してくれていた(笑)。

 

【今】「へえ〜!長崎の「チンチン電車」も最近はそがんなっとっとばいね〜」

・車内に両替機が設置されている。
・交通系カードが使えるようになった!
・スマホなどで運行情報が見れるようになった!
・最近、電停の名称変更があった。
「松山町」→「平和公園」「浜口町」→「原爆資料館」「正覚寺下」→「崇福寺」
「賑橋」→「めがね橋」「築町」→「新地中華街」など。
 なるほど〜。観光客にもわかりやすく、ですね!
・広告でラッピングされた車体が増えた。
・いろんな車体や電車も登場。
路面電車 代表的な車体はなんといっても「水戸岡鋭治デザイン
 310号みなと」、通称「みなと」でしょう!
 地元の子どもたちは「お母さん、今日の学校帰りの電車
 “みなと”やったばい」と喜んで帰ってくる。
 そして「3000形」のバリアフリー車体(低床式電車)
 他にも、「168号」「207号」などクラシカルなものが
 いくつかある。
 でも、地元民にとっては、やっぱり、あの車体!そう!
 落ち着いたグリーンとクリーム色のツートンがいちばん!

最近は、およそ1時間半ほどのルートで、夜景を眺めながら生ビールなどを楽しむ「ビール電車」や、冬の「おでん電車」がありますが、それに加えてイベント時などに季節の風物詩などに準えて装飾された「花電車」(こちらは乗車できません)も。

【今も昔もやっぱり!】「変わらんねえ、こいがよかとやもんね〜」

電停「浦上車庫」では、それぞれ「運賃箱」を手にすばやく交代する運転士二人の姿や、たくさんの電車が並んでいるようすを見ることもできるので、電車好きにはたまらないスポット!

 

さて、どうでしたか?
「チンチン電車」の話題をとおして、年令差を自覚させられたり、世代間ギャップに驚いたり、私たちもなかなか楽しい時間になりました。
そして、「チンチン電車」といえばやっぱりこちらの絵本です。

チン電

『チンチンでんしゃのはしるまち』は、福音館書店の「かがくのとも絵本」シリーズで、運転席や車体部品のこと、長崎の街並みなどが、細やかなイラストで描写されています。今では、街並みが若干変わってしまったところもありますが、それでもそのようすを特徴的に描きだした楽しい絵本。小さいお子さんと一緒に長崎に訪れる際は、こちらの絵本で予習をするのもおすすめですよ。

 

 

 

 

 

そういえば、数か月前にこんなことがありました。
東京からのお客さんに「長崎の電車って、時刻表がないんですね〜」と言われた私。
時刻表「あれ?時刻表あったよね、なんか見たことあるけどな」と思いながらキョトンとしていると、続けて「だって、同じ行き先の電車が二両続けてきたり、かと思えば全くこなかったりするじゃないですか!」と更にひとこと。

「なるほど〜」「そういえば、時刻表はほとんど見ないな」と思いながら、今回改めて調べてみると、確かに各電停の時刻表には電車が少ない時間帯だけ明記されていて、ほかの時間帯は「5分おきに運行」とか「9分おきに運行」と書いているのみ。
「待っていればいつかくる」それが私たちの地元民の常識なのだと改めて確信!
そんな大らかな長崎市民の人がらに触れたようで、ほっこりするエピソードになりました。

 

皆さんが暮らす街にもきっと、そんなおもしろいエピソードが隠れているのではないでしょうか。ぜひ探してみてくださいね!

(担当:C)


『チンチンでんしゃのはしるまち』

 作:横溝 英一
 福音館書店

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