童話館スタッフ思い出・イチオシ この1冊 第13回

年が明けたあたりから、外にでると鼻がムズムズ…花粉症の方にはつらい季節がやってきましたね。私もそのひとりで、日々「はなたれ」生活。そんなこの時期にいつも思いだす絵本が、『はなたれこぞうさま』(「大きいさくらんぼコース」およそ6~7才)です。
むかしむかし、ある村に、花をつくり遠い町まで売りにいく男がいました。男は売れ残った花を「そーら、おとひめさまのところへ いって、かわいがってもらえよ」といつも川へ流していました。そんなある日、ちっとも花が売れずにしょぼしょぼ歩いて橋の上まできたところ、橋の上に子どもを抱いた、おとひめさまのつかいだという女の人があらわれ、「この子は、はなを たらしておりますが、あなたの のぞみごとは、なんでも かなえてくれます。そのかわり この子のすきな えびなますを、まい日 あなたがたべさせてやってください」というのです。半信半疑ながらもこぞうさまにえびなますを食べさせ、のぞみを言ってみた男は…。
まずはこのタイトル『はなたれこぞうさま』のインパクトは絶大でした。子どもってこういう言葉好きですよね。「今月の絵本はこれだよ~」「な~に~?」「はなたれこぞうさま!」と伝えると、「ん? はなたれ?」といきなり興味津々に。そして読み聞かせてみると、こぞうさまがはなを「プーン プーン」とするたびに大笑い。それこそはじめは、「はなたれ」や「プーン」に反応して楽しんでいた息子でしたが、男ののぞみが叶っていく展開に、どんどんお話の世界に引きこまれているようすが見てとれました。心が動くってこういうことなんだなあと思ったことを覚えています。そういえば、この反応は昔話を読み聞かせるときによく目にしたような気がします。ただわが子好みの絵本だったからなのか、これが昔話の魅力なのか。この絵本を手にとられた皆さんの、お子さんのようすも知りたいな、と思います。
そして、この絵本は方言での語り口調で、言葉のリズムが心地よく、読んでいる私も何度読んでも飽きることのない絵本でした。なにより太田大八さんが描く絵が、お話の世界観をぐっと魅力的にしています。なんともいえないこぞうさまの表情や、のぞみが叶うにつれてどんどん変わっていく花売りの男の表情やしぐさなど、絵だけをじっくり眺めても楽しめる1冊です。
つつましく暮らしていたやさしい男が、なんでものぞみが叶い、欲にかられた結果どうなってしまうのか。息子の感想は「あぁ…だめだよ…」でしたが、大人の私も「たまには身をふり返らないと…調子にのったらこうなるよね」と思ってしまうお話の結末。「童話館ぶっくくらぶ」では「大きいさくらんぼコース」にて3月にお届け予定です。
どうぞお楽しみに!
(担当:G)
『はなたれこぞうさま』
川崎大治/文
太田大八/絵
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「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「大きいさくらんぼコース」(およそ6~7才)
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