童話館スタッフ思い出・イチオシ この1冊 第6回
絵がとても美しい色彩で繊細に描かれていて、表紙を見せて飾るのもインパクトがある素敵な絵本です。子どもが小さいころ、一緒に楽しんだ思い出もありますが、それ以上に緊張感を呼びおこす思い出深い絵本でもあります。
私がこの絵本を初めて手にしたのは、童話館の採用面接の日でした。面接室に通されたとき「お待ちいただくあいだ、よかったらご覧ください」と渡されたのがこの絵本。
当時、絵本から遠ざかっていたことや、絵本の知識が不足していたこともあり、子ども向けの絵本なのに、まるで美術館の絵画のようにキレイな表紙にまず驚きました。
そして、ただでさえ面接前に緊張しているのに、「この絵本の感想も質問されるのか?」とさらに心拍数をあげながら、手に取りました。
ページをめくると、そこにはていねいに描かれた草花や生きものたちがいて、緊張感がほんの少し薄れ、動物たちの表情に愛らしさを感じた記憶があります(結局、面接時の質問にこの絵本のことはありませんでした…)。
その後、無事に入社することができた私は、たくさんの絵本や子どもの本に出会いました。そして、ぶっくくらぶの会員さんをはじめ、絵本や本にかかわる方たちから、たくさんのことを学び、絵本が持つ力をより実感するようになりました。そして、それは今も継続中です。
入社後の勉強会で、前代表はこの絵本を「小さな人たちの素直で温かな出会いの物語」と表現されていました。
20年前、「小さな人」ではなくとも童話館との「温かな出会い」となった日。
「うちの新刊なんだよ。いいでしょう」と誇らしげににんまりとした前代表の顔も忘れられない、特別な1冊です。
(担当:T)
『きんのたまごのほん』
マーガレット・ワイズ・ブラウン/作
レナード・ワイスガード/絵
わたなべ しげお/訳
童話館出版▶詳しくみる
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「小さいくるみコース」(およそ3~4才)
この記事をシェアする