ヴィクターからのおくりもの
今回の企画展ポスター
すこし映画のフライヤーを意識してみました。
原画をゆっくり観た後に、
優しい映画を観た後のような、幸せな気持ちになってほしいなあ
そんな思いで
ちいさな美術館のしずかな恋のおはなし と
映画の副題のように添えてみました。
そうそう!この絵本は小学校高学年から大人までおすすめの恋のおはなしなんです。
意地悪な魔法使いの手によって、絵の中に閉じ込められたかわいそうなクリスタベル。
しかし幸運なことに、絵の中に入ったままではありますが、優しいヴィクターに出会います。
ヴィクターは、ちいさな美術館ではたらく物静かな守衛。
ある日運び込まれた絵をひとめみて、中に描かれたひとりの女性に恋に落ちます。
そう、それがクリスタベル。
絵の中の女性が魔法で閉じ込められているとは考えもせず一途に思い続け、
その純粋な気持ちが、時と空間を飛び越え実るまでのおはなし…
原画をみたあとは、絵本を実際に手に取ってみてください。
表紙で、ヴィクターが手にしているのはチューリップ🌷
恋のはじまる春を予感させます♪
ページをめくっていくと、実際に花屋でチューリップを買う様子が描かれていますが
店内にはひまわりやカラーやサボテンが。
夏の訪れが近いんだと思わせる1ページです。
更にページをめくると、クリスタベルが閉じ込められた絵に添えられているのは
シクラメンの鉢植え。
ヴィクターの恋が冬になっても冷めていないことが伝わってきます。
お話はクライマックスへ。
ヴィクターのとある行動がきっかけでクリスタベルの魔法はとけ、
ふたりはずっと寄り添っていた恋人のように、でも
ようやくはじめて出会います。
あたたかい気持ちで本を閉じようと見返し部分をふと見ると、そこには
美術館の床にポツンと置かれたあじさいの鉢が。
このあじさい、物語が始まる前の見開きにも描かれています。
どういう意味があるのでしょう?
花言葉?
作者からのメッセージ?
正解はきっとありません。絵本を手にして、ぜひ自分だけの答えを考えてみて下さい。
私は、ドイツ人学者シーボルトさんが長崎でみつけたあじさいの花に、
ドイツ出身の作者ペトラ・マザーズさんが描いたあじさいの花との運命を
勝手に感じてしまっています…❁
ちょっと長くなりましたが…
企画展終了まで1週間ほどとなりました。
ぜひおもいおもいの解釈で、楽しんで見てください❁
祈りの丘絵本美術館には、おくりもののひまわりが飾られています
スタッフMでした🌻
ヴィクターとクリスタベル―そっと恋して 絵本原画展
2022.7.3(日)まで開催中
ちいさな美術館のしずかな恋のおはなしをお楽しみください