こつこつ、ていねいに働く、くまさん -勤労感謝の日
明日11月23日は「勤労感謝の日」です。
そこで、今回ご紹介するのは『パンやの くまさん』。
こつこつ、ていねいに、働き、暮らす、そんなくまさんの1日が淡々と描かれた絵本です。
この”淡々と”がこの絵本の魅力で、朝早く起きて、パンやケーキを焼き、お店で売ったり、車で移動販売や配達にでかけたり、そうしてくまさんの一日は終わります。大きなできごとがおこることもなく、ただ静かに、そのつつがないくまさんの暮らしが描かれた絵本ですが、じんわりと心に残り、なんだか温かくしあわせな気持ちにさせてくれる1冊です。
このしあわせな気持ちはどこからくるのだろう…と考えると、くまさんのひととなり(くまとなり?)と、働きぶりや暮らしぶりから伝わってくるものなのかなあという気がしてきます。そして、絵本のなかの近所の人たちは、くまさんのパンやにくることがだいすきで、くまさんが愛されていることも伝わってきます。それはいつもくまさんが礼儀正しく、あいさつを忘れなかったり、おまけのキャンディを子どもにあげたり、また、整えられた部屋や仕事場からも、誠実に仕事をしていることが伝わるからかもしれません。
くまさんにとって、働くということは、ただパンを作って売るというだけでなく、お店にきてくれた人が気持ちよく帰ってくれることも、その一部分なのでしょう。
働くということは、もちろん生きるためにお金を得るというたいせつな手段ではありますが、誰かに必要とされたり、感謝されたり、感謝したり…そういったことがやりがいにもつながって、その小さな満足感の積み重ねが、しあわせへとつながっていくのかもしれないな…とくまさんのつつましい暮らしから、何か大切なことを思いださせてもらえたような気がします。
私の仕事は、ぶっくくらぶの会員の皆さんへお届けする絵本や本を準備したり、管理したりすることです。絵本や本を直接お渡しすることはできないので、会員の皆さんとお話しする機会はなかなかありませんが、お寄せいただくお便りなどから、お子さんたちやご家族に楽しく読んでいただけているようすをうかがうことができ、うれしく思っています。そして、自分の仕事が誰かのしあわせにつながっているのかな、そうだといいな…と日々感じています。
さて、「勤労感謝の日」は国民の祝日に関する法律によると、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」ことを趣旨としています。明日はその趣旨を感じながら、世のなかにあるたくさんの仕事とそこで働く誰かを意識する日として過ごしてみるのもいいかもしれませんね。おいしいパンをおともにー。
(担当:G)
『パンやの くまさん』
作・絵 フィービ・ウォージントン
作・絵 セルビ・ウォージントン
訳 まさき るりこ
福音館書店
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース
▶「大きいくるみコース」(およそ4~5才)
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