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シリーズ〈今月の1冊〉- 2026年9月『頭のうちどころが悪かった熊の話』


 

 

今月のおすすめの1冊は『頭のうちどころが悪かった熊の話』(「大きいジュニアコース」およそ1415才)です。

「大きいぺんぎんコース」(およそ12~13才)の『天のシーソー」、「小さいジュニアコース」(およそ13~14才)の『夕暮れのマグノリア』でおなじみ安東みきえさんによる、ユーモラスな7つの寓話集です。「寓話」とは、教訓や処世訓などを、動物やほかの事柄に託して語る物語のこと。その代表的なものに「イソップ物語」があります。

 

表題作の『頭のうちどころが悪かった熊の話』では、題名どおり、頭の打ちどころが悪く記憶喪失になった熊が、大切なパートナー、レディ・ベアを探します。「黒くて毛だらけのものがレディ・ベアなのではないか?」と言われれば毛虫をたずね、「熊と同じ足の数のものがレディ・ベアなのではないか?」と言われれば、ゆりいすをたずね…。さまざまな動物たちと出会いながら、大切な相手を探していきます。

 

適切な表現かどうかわかりませんが、読んでいて感じたのは、「高度なまんざい」のようなおもしろさです。登場する動物たちの会話には、ブラックユーモアが交じっていて、思わずくすっと笑ってしまうやりとりが印象的です。だけど、ただおもしろいだけではなく、ときどき「なんだかおしゃれだな」と感じるフレーズもでてきます。

たとえば、「月と星とがいっぺんに入るには、熊の家はせますぎたのだ。」
こんな一文が、さらっとでてきます。

くすっと笑えるお話のなかに、ときどきこんなふうに美しくておしゃれな言葉が現れるのも、この本の魅力なのかもしれません。また、寓話なので、読んだあとに「これはどういう意味なんだろう」と考える余白があります。「こういうことを伝えたいのかな?」と考えながら、読み返してみたり、あるいは意味を考えすぎずに、「この表現、なんだか好きだな」と、自分のお気に入りの一文を探しながら読むのも楽しいかもしれません。

それぞれの楽しみ方で読んでいただきたいユーモアあふれる、今月の1冊です。

 

 

(担当:H)

 


 『頭のうちどころが悪かった熊の話』

 安東みきえ/作
 下和田サチヨ/絵
 理論社

 「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース 「大きいジュニアコース」(およそ14~15才)


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