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シリーズ〈今月の1冊〉- 2026年10月『ゆくえふめいのミルクやさん』


 

こちら長崎は、秋らしく、金木犀の香りが今にも漂いはじめそうな今日このごろです。

 

今月ご紹介したい1冊は『ゆくえふめいのミルクやさん』(「大きいみかんコース」およそ8~9才)。

作者は、絵本の定期便「童話館ぶっくくらぶ」ではおなじみのロジャー・デュボアザンです。

 

ミルクやさんとダックスフントのシルビアは、毎朝4時に起きてトラックの“アメリア”に乗り、新鮮なミルクやたまご、バターやオレンジジュースなどを町じゅうの家に届けていました。まい日 まい日、くる日もくる日も、いろいろな品物を持ってはトラックをとび降り、空きびんを抱えては、またとび乗ります。町のおくさんがたとはあいさつを交わして、そのあとは決まってお天気の話…。

 

ある日、ミルクやさんはシルビアに「話すことがないとき、みんなは なんていうか しってるかい?」「お天気だよ、シルビア。お天気のことなどほっといてくれだ。お天気なんて、うんざりだ」といいました。

そしてその晩、夢をみました。あつくてさむくて晴れていて、ゆきで…そんななかで町じゅうのおくさんがたが、ミルクやさんのまわりで踊ったり歌いながらお天気を聞いてくる夢でした。

 

つぎの朝、ミルクやさんはシルビアを連れてアメリアに乗りこみ、どの家の前でも止まらず、「ドチラニ イコウカ  カミサマノ イウトオリ」とおまじないをしたり、コインで行く方向を決めたりして、気の向くままに走りだします。

そして大自然のなかで食事をとったり、湖で魚つりをしたり、ゆったりとした時間を過ごすのでした。

 

そんなふうに自由気ままに過ごしていたミルクやさんですが、いつのまにか町が懐かしくなり、おまわりさんから町のみんながミルクやさんを探しまわっていると聞かされて…。

 

誰しも、日々の生活のなかで多かれ少なかれ、ふと自分のあり方について迷ったり、エンジンが切れてしまいそうになるときがあるかと思います。そんなとき、立ち止まってゆっくりと考えて休んでもだいじょうぶなんだ、という気持ちにさせてもらえる1冊です。

 

絵はカラーと白黒のページが交互に配置されていて、チャーミングでポップななかにも、ミルクやさんの心の動きがとても繊細に描かれています。私は、おくさんがたの表情や髪型、服装などを見るのも好きです。

 

読書の秋に、ご家族の皆さまでおだやかな時間をお過ごしください。

 

(担当:N)

 


 『ゆくえふめいのミルクやさん』

 ロジャー・デュボアザン/作・絵
 山下明生/訳

 

 「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「大きいみかんコース」(およそ8~9才)


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