祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

アイヌの古布絵の絵本

「ウポポイ」オープン!

先日の 新聞記事で 見かけて、

何だろう?・・と 思ったら、

北海道のアイヌ民族を テーマにした

国立の博物館 のことでした☆

 

そう言えば、書店の 各地の民話の絵本コーナーで、

アイヌ神話の 絵本を見かけたな~ と・・・

探してみると。。。あった、あった、ありました!

右:「セミ神さまのお告げ」福音館書店/宇梶静江・古布絵再作・再話
「トーキナ・ト ふくろうのかみの いもうとのおはなし」福音館書店・品切れ・津島佑子・文・宇梶静江・刺繍・杉浦康平・構成

どちらも、63才で 古布絵という

アイヌの刺繍と古布による 独特の表現方法を 生み出した、

民族解放の 運動家でもある、宇梶静江さんの絵本です。

 

右:「アイヌの昔話より セミ神さまのお告げ」

六代の人の世を生きた おばあさんは、

歌で 津波を予言しますが、

生きのびたのは、上の大地の人々だけで、

下の大地の人々と おばあさんは、

海に 流されてしまいます。

怒った海神に、六つ地獄へ落とされた

おばあさんですが、アイヌの神様の妹が

うっかり 地面に あけた 穴から 這い出して・・・!?

 

「シマフクロウとサケ」(福音館書店・品切れ)に

続く、作者の2冊目の 絵本。

口承と手ぶりで 伝えられる セミ神さまの 神話を、

紺藍色の地に、流れるような鮮やかな アイヌ刺繍と、

手作業で 縫い付けた 味のある古布で、

ダイナミックに 見事に 再現しています!

 

アイヌの自然の神さまの 厳しさに、

なぜ、予告した おばあさんまで、津波に流されて、

地獄に落とされるの・・!?と、突っ込みたくなりますが、

大胆な 刺繍と布の使い方と 予想できない展開に 目が釘付け☆

また 新たな絵本の世界に出会えた 喜びを 感じました✨

 

左:「アイヌの神話 トーキナ・ト ふくろうのかみの いもうとのはなし」

村を守るシマフクロウの神さまの 妹が、

ある日 恐ろしい魔物に 連れ去られてしまいます。

兄は、半分かみさま、半分にんげん の

アイヌの若い英雄 アイヌラックルさま に、

助けを頼みますが・・!?

 

「トーキナ・ト」 の 繰り返しが 印象的な、

アイヌの叙事詩を 元にした 絵本。

なんと言っても、魔物の世界の 迫力!

渦巻く刺繍と 古布を継ぎ合わせた

妖怪たちが、生々しく 迫ってきます!

怖いけれど、幻想的な美しさに 魅かれて、

食い入るように、読み進むと、

神話らしい 幸せな大円団へ・・👨‍❤️‍👨

訳は、太宰治さんの娘さんだそうです。

巻末の、原案となった オリジナルの

1枚絵のような 刺繍も 圧巻です!

 

どちらの絵本からも 感じる、

晩年から 始めたからこその 人生の重みとパワーは、

60才で 絵を描き始めた 大道あやさんの作品と

通じるものが あります✨

残念ながら、宇梶静江さんの絵本は 2冊は品切れですが、

ぜひ 見かけたら お手に取って、

アイヌの文化に触れてみてください。

新しい世界に 出会えると 思います!

 

ぜひ、生の刺繍を見てみたい Fでした~