祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

ドリトル先生航海記

みなさんは、子どもの頃、

動物と話せたらいいな~!

と、思ったこと ありませんか?

 

そんな 夢のような 物語✨

世界中で愛される ドリトル先生シリーズの中から、

童話館ぶっくくらぶ9~10才コース

予備にも入っている 1冊を、

近年でた 新訳と共に、ご紹介します🐦🐶🦆

 

「ドリトル先生航海記」
ヒユー・ロフティング・作
左:井伏鱒二・訳 岩波少年文庫
右:福岡伸一・訳 新潮文庫

新旧両訳を、お正月休みに 小学生ぶりに 読み返してみて、

やはり 面白い!!と 夢中になってしまいました。

 

博物学者でもあり、動物のお医者さんでもある

ドリトル先生の冒険を スタビンズ少年の目線で

描いた 2作目は、シリーズの中でも 一番の人気作📖

 

 

1部は、出会いから 助手になるまで。

前作のアフリカ行きの冒険を共にした 動物たち

(賢いオウムやチンパンジー、毎年夏に来る極楽鳥など)が

故郷から 次々と 先生の元へ 帰ってきて、

これから 楽しい物語が始まる 予感♪

 

2部は、ドリトル先生が、裁判で

犬の通訳として 活躍する話。

探している 伝説のアメリカンインディアンの

博物学者の 行方を知る 鍵を握る、

世捨て人ルカを 助けます!

 

そして いよいよ 第3部は、

遠い海に浮かぶ クモサル島へ🏝

船を作って 出発したものの、密航者に悩まされ、

闘牛場では 牛たちを解放し、

嵐で遭難したけれど、なんとか 島にたどり着き、

捜し求めていた ロングアローを救い、

島の危機を 勇気と知恵で 乗り切り、

ついには、クモサル島の王様に…!

 

…と1冊に、

どれだけの 面白いエピソードが

詰め込まれていることか!✨

 

シートン動物記、ファーブル昆虫記、

ロビンソンクルーソー、十五少年漂流記、

チムとゆうかんなせんちょうさん、海底二万里、

地底旅行、エンデュアランス号漂流記、

天空の城ラピュタ…などなど、

冒険好きな少年の 心を とらえて離さない

エッセンスが ちょっとずつ 入っていて、

3冊分くらいの 充実感が 味わえます⛵

 

小学生の頃は、冒険そのものや

あらゆる生き物と 会話できる能力に

魅かれて 読んでいた 気がしますが、

 

大人になって 読み返してみると、何よりも まず、

スタビンズ少年始め、どんな人や動物たちも

会ったとたんに 好きにならずにいられない、

ドリトル先生の 温かい人柄に 惹き付けられます。

 

スタビンズ少年が ドリトル先生の家の台所を その人柄に例えて、

~感じがよくって、きちんとして、したしみがあって、どっしりして

と、表現していますが(岩波版)、

まさに そんな気持ちのいい空気が 作品全体に 流れていて、

読者も、ドリトル先生と いっしょなら、どんな時も 大丈夫!

という 気分に♪

 

 

両訳を 読み比べてみての 感想☆

(長くなってきたので、飽きた方は 読み飛ばしてください!)

 

原作者のロフティングが、戦争中に子どもたちに 書き送った物語を

石井桃子さんが 原訳、井伏鱒二さんが 翻訳した 約60年前の旧訳は、

味わい深く、一言一言が 染み入るよう!

スタビンズ少年の ドリトル先生に対する描写が 敬語なのも、

作品の 英国風な雰囲気と合っていて、好ましい印象です。

少し 現代とマッチしない 表現も ありますが、

それはそれで、名訳の風情を 楽しんでみては いかがでしょうか。

 

新訳は、子どもの頃、ドリトル先生のファンだった

生物学者の福岡伸一さんが 完訳した 美しい装丁の文庫本。

「わし」→「わたし」、「黒人」→「黒い肌の男」など、

現代に合わせた表現で、スムーズに読める 物語になっています。

どちらかというと、大人が 自分用に持っておきたい1冊?

 

冬休み終わりの日曜、

ちょうど このブログを 書いている途中、

レジに、小学生の男の子が

「ドリトル先生アフリカゆき」を 持ってきました。

たくさんの 子どもたちに、

これから、このシリーズを 存分に 楽しんでほしい!

と 心の中で思った Fでした♪