夕暮れのマグノリア
夕暮れ時、明るいとも暗いともつかないぼんやりとした時間。
この世界と異界が交じり合うと言われる『黄昏時』とも呼ばれます。
また、タイトルにあるマグノリアは春に咲き始めるモクレン🌼のことで
夕暮れ時のモクレンというと、ひっそりと淡く開いた花が連想されます。
主人公の中学生・灯子の身には、夕暮れ時に限って不思議なことが起こります。
亡くなった人の思いや情念が聞こえたり、見えたり。
おでかけの日の午後や放課後、夏のお祭りなどその場面はさまざまで
そしてその時々で、この年令特有のもどかしさ、歯がゆさを感じている灯子。
そんな心の揺らいでいる時、自分にだけわかるように
時が止まり目の前で過去と現在が交錯します。
決して不思議な能力を持っているわけではなく
人一倍感受性の強い灯子にだから起こる不思議なできごと。
それをすんなりと受け入れるでもなく、怖いと拒絶するでもなく
とまどいながらもゆっくり自分の中に落とし込んでいく灯子の姿は
中学生という年令の、揺らぎやすさ、もろさ、繊細さみたいなものを
象徴しているように感じました。
安東みきえさんの書くお話は、
ファンタジーとまではいかないけれど
現実とはまたちょっと違った世界をみせてくれます。
肩の力を抜いてくれるような読み心地がして好きです🌼
安東みきえさんが、タイトルになぜマグノリアと付けたのかは、
連作短編の最後の章でわかります🌼
スタッフMでした📖