祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

点子ちゃんとアントン🐞

 

少しまえにブログで 飛ぶ教室について書いて以来、

私の中ではひそかにケストナーブームがきています📖

 

点子ちゃんとアントン🐞エーリヒ・ケストナー作🐞左:高橋健二訳・ハードカバー🐞右:池田香代子訳・文庫本🐞どちらも岩波書店発行

 

 

飛ぶ教室でもそうだったように、この本にも点子ちゃん、そしてアントンという

生きることにまっすぐで、勇敢な子どもたちが出てきます。

 

舞台は20世紀はじめのドイツ・ベルリン。

点子ちゃんはお金持ちの女の子で、ユーモアのセンスを持った機転の利く女の子。

アントンはその点子ちゃんの親友で、病気の母親を抱えた貧しい男の子。

私は読み始めてすぐにユーモラスでとびきり優しい

点子ちゃんのファンになりました!

 

自分とアントンの生活の差を感じながらも、

相手を傷つけずにそっと尊重しながら、点子ちゃんは接します。

それに点子ちゃんは心の底からアントンを尊敬さえしています。

アントンも、そんな点子ちゃんだからこそ素直に胸の内をさらけ出します。

 

それから、この作品では各章が終わるごとに ”立ち止まって考えたこと” として

作者ケストナーが、登場人物がしたことや言った言葉について読者に語りかけます。

正直最初はその ”区切り” のようなものに 物語の中から現実に引き戻される感じがして読みにくかったのですが、

だんだん章を追うごとに自分自身でも”立ち止まって考える”クセがつきました。

 

20世紀のドイツと言えば、不穏な渦が立ち込める不安定な情勢。

そんな中で、ケストナーはこの「点子ちゃんとアントン」という作品に人生の

酸いも甘いも投影して、子どもたちがよい世界で育ちますように

と願ったのかもしれないなあ…と感じました。

 

 

それにしても!登場人物みんな個性がはっきりしていて面白い!

次はどのケストナー作品に手をだそうかな…

 

スタッフMでした🐞