4月20日「穀雨」

ここ長崎では、桜の季節が過ぎ、ツツジや藤の花が道ゆく人たちの目を楽しませてくれています。特に県花である“ミヤマキリシマ”は、別名雲仙ツツジとも呼ばれ、この時期から咲きはじめ、5月中旬にピークを迎えます。この花の群生地として有名なのが、雲仙市にある観光地のひとつ仁田峠です。この季節に長崎にお越しの方は、足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
さて、4月20日から二十四節気のひとつ「穀雨(こくう)」の季節が始まりました。農業や季節の目安となる二十四節気ですが、その6番めの区切りとなる穀雨は、作物を育てる恵みの雨が降るころのことを指す「雨生百穀(うりゅうひゃっこく)」に由来し、この言葉には“春雨が百穀を生む”という意味があるそうです。忙しく過ぎる毎日であっても、ふと自然に目を向け、美しいものを感じられる自分でありたいですね。
今回はそんな季節の移り変わりを楽しめる絵本をご紹介します。『はるは』(「大きいいちごコース」およそ2〜3才)、谷川俊太郎さんによる翻訳で、短い詩のような言葉が絵本の世界をよりひろげています。
登場するのは茶色のダックスフントとかたつむり。ふたりはどうやら季節をめぐる旅にでかけるらしく…。
たとえば春はこんな感じ。
「はるは はるさめ」
「はるは はなかざり」
見開きに言葉がひとつ。ぽんと置いてあり、あとは自由にご想像くださいというように、読者に絵本の世界が委ねられています。
娘が小さいころ、この絵本をよく読んであげていたのですが、言葉が少ないぶん、娘の空想がひろがっていたように思います。
特に秋が始まる場面では、大きなキノコの下にダックスフントとかたつむりがいるのですが、隣の頁では、かたつむりが鳥さんの背中に乗って飛んでいってしまいます。そこにある言葉は「あきは あれれ?」。そしてそれ以降、かたつむりは登場しません。なんで「あれれ?」なのか、どうしてかたつむりだけ飛んでいったのか、幼い娘はその理由を知りたがり、ふたりで絵を見ながら話し合ったものでした。
そんなふうに絵を眺めながら、頭のなかで自由に発想をひろげていける楽しさもまた絵本の魅力ですね。
春は何かと新しいことが多く、心や身体が少し疲れたなと感じることはありませんか? そんなときはふと自然に目を向けて、ただ花の美しさに心を動かしたり、吹いてくる風に心地よさを感じたり、自然の力を受けとるのもいいかもしれません。降りつづく雨もいつかの恵みにつながる。そう思えるといやだなと思う雨の朝も、少しだけ心が前を向くような気がします。
(担当:A)
『はるは』
ジャニーナ・ドマンスカ/作
谷川俊太郎/訳
童話館出版 ▶詳しくみる
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「大きいいちごコース」(およそ2~3才)
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