童話館スタッフ思い出・イチオシ この1冊 第15回

美しく咲きほこる桜も少しずつ若葉にかわるころとなりました。
わが家では、昨年3人きょうだいの末っ子が大学へ入学し、ひと息つけるようになりました。思い返せばあわただしい朝の登校準備、帰ってきてからは、「宿題は終わったの?」「寝るのが遅くなるから、次々におふろにはいってね」など、ついつい「早くしてね」と言ってしまっていたことも多々あって…。そんな日々でも、子どもたちと寝る前に一緒に過ごす読み聞かせの時間は、一日をリセットできる大切な時間でした。
「今日はどの絵本にする?」と言って嬉しそうに持ってくる絵本が『うさぎとかめ』(「小さいさくらんぼコース」およそ5〜6才)でした。
『うさぎとかめ』といえばイソップ寓話集で知られていて、皆さんもどこかで手にしたり、お話を聞いたりしたことがある絵本ではないでしょうか。足の速さが自慢のうさぎ、歩くのはゆっくりでも、少しずつしっかりと歩みをすすめるかめのお話です。
「むかし、うさぎが、足のはやさを じまんして、みんなのまえで、こう いった」ではじまり、「童話館ぶっくくらぶ」でもおなじみのポール・ガルドンが絵を手がけています。モノトーン調ですが、登場する動物たちの表情がいきいきと描かれ、子どもたちは、腕を組みながらとくいげな表情を浮かべるうさぎに、いつも「このあと、いろいろあるんだよね」と、結末を知っているので、それこそとくいげに話していました。
かめは、まわりの動物たちに見守られながら、最後まで休むことなく歩きつづけ、森の動物たちがゴールテープを持って待つゴールへいちばんにたどりつきます。
日常に追われ、ついつい「急いで」「早く」と言ってしまっていたときに、この絵本は子どもたちのペースに戻してくれて、親子ともに心にゆとりを持たせてくれた、そんな思い出のある絵本です。
あせらず、あわてず、かめさんのようにゆっくりと歩みをすすめることのできる新年度になることを願っています。
(担当:U)
『うさぎとかめ』
ポール・ガルドン/絵
さがの弥生/訳
童話館出版 ▶詳しくみる
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「小さいさくらんぼコース」(およそ5~6才)
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