ブログ開設1周年記念特別企画
2022年7月に「ぞうの本屋さんブログ」を開設し、1年が経ちました。絵本や読み聞かせについてなど、つづってまいりました。少しでも、楽しんでいただけていたら嬉しいです。
今回は、1周年を記念した特別企画を、いつもより、フランクにお届けします。
題して、「編集企画室室長インタビュー」!
室長の川口に7つの質問に答えてもらいました。ぜひお楽しみください。
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Q1.15コースのなかで好きな絵本・本ベスト3は?(理由も)
今回は、あえて、自分が編集した作品をのぞいてみました。自分が編集した作品はどれもわが子のような存在で、共に過ごした時間も長く、思い出や大変だったエピソードなども込みで、愛しい存在なので、読者の皆さんからの好き嫌い出来不出来の評価は受け止めつつも、私は順位をつけることができませんでした〜。どうかご容赦を!
『マウス一家のふしぎなさんぽ』
娘がとってもとっても好きだった絵本で、私も楽しい思い出があり、特別です。
特に娘は当時、ねずみの子どもが言い間違いをする場面が大好きで、読んであげるたびに、「ああー!違うよね〜」「また、まちがった〜」と、ニコニコと私の顔を見ながら嬉しそうにしていて、その時の声や娘の表情を今でもよく覚えています。そういえば、散歩をしながら、「マウス一家」ごっこもしていました!私自身も、淡々としていながら、なかなか賢くて、センスのいい、ミセス・マウスにちょっと憧れていました。
『しずかでにぎやかなほん』
色使い、言葉遣い、構成、どれも好きです。絵本の表紙に、マットなブラックを施そうとするセンスと自由な発想にしびれます。デザイン画のようなカラフルなイラスト、谷川俊太郎氏でなければ生まれないであろう訳文に、うっとりうっとり。うーん。言葉ではなかなか伝えられない感覚的な絵本なので、ぜひ手にとっていただきたい1冊です!
『ゼラルダと人喰い鬼』
悪い鬼が改心するという展開、子どもがお料理をしているようす、おいしそうな食べ物やすてきな食器がたくさんでてくるところ、お料理の名前がユニークでむずかしいところなど、惹きつけられるポイントがたくさんあって、好きです。こんなふうに人とつながっていけるんだな、と希望を感じられるのも好きのポイントです。
『きつねのホイティー』
昔話ならではの知恵や駆け引きが楽しいのはもちろん、なんといっても、主人公たちの名前もおもしろくって大好きです。女性たちがきつねをだます時のセリフに、リズムや音程をつけて、読んであげていたのも懐かしい思い出です。それに、女性たちが持っている布?がとってもきれいな色なのも、ポイント!
『くまのブウル』
描かれているくまの姿が、リアルなのに、かわいらしくて、眺めながら思わずニヤニヤ見入ってしてしまう1冊。こぐまが生まれてどんなふうに成長していくのか、その習性、ちょっとしたしぐさ、森の生活や他の生き物などのようすなど、図鑑と物語が融合したまるで映画のように楽しめる作品です。
石井先生の、上品で、時にかわいらしい訳文も、好きです。
子どものころ、福音館版を父が、NHKドキュメンタリーふうに読んでくれていたので、わが家でもそんなふうに楽しんだことがあります。
『あと少し、もう少し』
瀬尾まいこさんの、すっきりとした、さわやかな文体、こねくりまわさないけどきちんと描写できる、そんな文章が好きで、いつも「うまいなあ〜」「すごいな〜」「かっこいいなあ〜」と感動しながら読んでいます。個性豊かな登場人物、物語の展開も楽しく、読後感がいいところも好きです。私自身も中学のとき、寄せ集めの駅伝部で3年間走った経験があるのでそのことも理由のひとつになっているかもしれません。当時は練習が辛くて逃亡しかけたこともありましたが、大人になってみると、若い人がこうしてがんばっている姿や、そんな物語にはやっぱり惹きつけられるので、歳をとったのかなと思ってしまいます。
Q2.好きな絵本・本のキャラクターは?(理由も)
それは、やっぱり、なんてったって、「ラルフ」(*『あくたれラルフ』)でしょう‼️
だって、あんなに、はちゃめちゃにやって(やれてて)、しかもあんなに愛されているなんて、あるでしょうか!
仕事中に時々、ニヤニヤしてるラルフの顔がチラリと目に入ってくるんですが、目が合ったらいつも、思わず、「おい!」っていいそうになります。でもやっぱり、憎めない、愛しい子です。
あと、**『メアリー・アリスいまなんじ?』に登場する、アルマジロのチャーリー。視力が弱くていつも「見えない見えない」といっているところが、まるで私みたいで、親近感を感じ、密かに応援しています。メアリーの代役としてもっと活躍してほしかった(笑)けれど残念でした。
*『あくたれラルフ』
ジャック・ガントス/作 ニコール・ルーベル/絵 いしい ももこ/訳 童話館出版
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース:小さいさくらんぼコース(およそ5~6才)
**『メアリー・アリスいまなんじ?』
ジェフリー・アレン/文 ジェームズ・マーシャル/絵 小沢 正/訳 童話館出版
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース:大きいさくらんぼコース(およそ6~7才)
Q3.好きな絵本・本のフレーズは?(理由も)
たくさんありすぎて困ります〜。
でもやっぱり、定番ですが、「あめもまたたのし。かささせば」(*『かぼちゃひこうせん ぷっくらこ』)でしょうか。発想の転換で、現状や困難をちょっと前向きに捉えられそうな言葉で、優しい言葉遣いとリズム、そしてこのひらがな表記も心地よくて好きです。
あと、絵本に登場するお母さんたちの話し言葉が、やさしくて、上品で、教養豊かで、いつも「いいなあ」と思っています。
そしてこれも定番ですが『あすはきっと』も。娘が小学校低学年のころ、ちょっといやなことや思い通りにいかないことを話してくれるたびに、最後にはいつも「でも、あすはきっとだもんね、ママ」と言っていました。小さい子どもも、自ら発する言葉にこんなふうにして励まされて生きているんだなと、健気さを感じるのと同時に、そんなふうに励ましてくれる絵本の存在に励まされたものです。
*『かぼちゃひこうせん ぷっくらこ』
レンナート・ヘルシング/文 スベン・オットー/絵 奥田継夫/訳 アリス館
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース:大きいくるみコース(およそ4~5才)
Q4.座右の銘は?
座右の銘とはちょっと違うかもしれませんが。座右の銘ってあんまりない気もするけど、好きな言葉かな。
・「それでも人生にイエスと言う」フランクルの著書のタイトルから。
・漱石の「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。」←昔の人も、すごく頭のいい人も、こんなふうに悩んでいたんなら、私が悩むのも当然だなと、らくな気持ちになる。
・「恋をしているとピアノはあまりよく弾けません。でも、恋はお酒に酔っ払っているようにすてきではありませんか。若さを保つのにもいいでしょう」藤子ヘミング。
・あと、最近は、「エレガント」という言葉が、いい言葉だなあと思います。ただ表面的なことだけではなく、人としてこんなふうにありたいなあという意味でのエレガント。
・「セ・ラ・ヴィ!」それが人生!みたいなフランス語。
・「明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日の自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である」落ち込んでいる時や心配事がある時は、結構勇気づけられます。
Q5.仕事へのモチベーションは?
それは当然、ダントツ、会員さんからのお便り(メールやお電話も)です!「絵本のある子育て」を置いてくださっている医院の皆さまからの共感や期待の声も、かなり励みになっています!
Q6.仕事をしていて嬉しいことは?
・5と同じになりますが、会員の皆さんが、絵本を楽しんでいるようすや、助けられたエピソードなどを、お便りやメール、電話を通して伝えてくださるとき。
・あと、「通信」を書くとき、必ず過去40数年の「通信」を読み返しますが、長い間、たくさんの会員の皆さんに育ててきてもらったんだなあと、このコミュニティー温かさや質の高さを実感し、そこに連なっていることを実感する時。
・絵本を読んでもらっていたお子さんが、成長して、連絡をくれたり、たずねてきたりする時。子どもが小さいときは特に、「ああ、こんなふうに大きくなるんだ〜」「私ももっとたくさん読んであげよう」という励ましになって、嬉しかったです。
・スタッフみんなで何かをやり遂げられたとき!
Q7.仕事をしていてたいへんだなと思うことは?
伝えたいこと、やりたいことが、思うように伝えられない時は、大変だなあと思いますが、だからこそ、それを共感、理解してもらえたり、手伝ってもらったりすると、とてもとても嬉しいです。
そして、今一番たいへんなのは今この瞬間!質問に答えるために、絵本をあれこれめくっていると、ついつい読み込んでしまったり、「ああ、いいなあ〜」と鑑賞にふけってしまったりして、いいきぶんになって、仕事がまったく進みません!
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いかがでしたか。
Q1で、”ベスト3″の質問に、6冊も答える自由な室長。実は質問も8個だったのですが、1個はなんと放棄。ちなみに放棄された質問は、「たんぽぽ~大きいジュニアまでの15コースで、各コースの1推しは?」でした。放棄の理由は、「1冊なんで決められないから無理」でしたww
皆さんのベスト3、各コースごとの1推し、よかったらお知らせください。お待ちしています!
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