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シリーズ〈今月の1冊〉- 2025年7月『はじめてのキャンプ』


 

今年は例年より梅雨明けが早く、ここ長崎では夏本番というようなまぶしい日差しの毎日が続いています。

そんな季節にご紹介したい〈今月の1冊〉は『はじめてのキャンプ』(「小さいさくらんぼコース」およそ5〜6才)です。林明子さんの作品で、1984年に福音館書店より出版。絵本の定期便「童話館ぶっくくらぶ」でも、長年ご案内している絵本です。

 


 

“ちっちゃい”女の子なほちゃんが、おとなりのともこおばさんのうちに遊びに行くと、おばさんは、おおきい子どもたちとキャンプに行く計画を話していました。それを聞いたなほちゃんは、「わたしも いく!」と言います。おおきい子どもたちははじめ、ちっちゃい子は重い荷物を持って歩けないし、すぐ泣くし、薪を集められないし、暗いと怖がるし…といって反対しますが、なほちゃんの熱意が伝わり、キャンプに行けることになりました。

いよいよキャンプ当日、なほちゃんは、いっしょうけんめいに荷物を運んだり、自分の倍以上ありそうな薪を引っぱったりとちいさいながらも奮闘します。でも、そうかと思ったら、川ですべって泣きそうになったりする場面も。ついつい「なほちゃん、がんばれ!」と応援したくなります。

また、まわりにいるおおきい子どもたちやともこおばさんが、温かく見守ってくれている姿にもほっこりします。

 

私自身、三姉妹の末っ子で、幼少期によく姉たちに「○○ちゃんはまだちいさいからできないよ」と言われることもしばしば。「私だってできるのに…」とちょっぴり悔しい思いをしたり、背伸びしたりしていたころのことを思いだしました。結局、姉たちもそう言いながら、よく一緒に遊び、めんどうを見てくれていましたが…。

 

物語もさることながら絵も見どころのひとつで、色彩はシンプルですが、なほちゃんの奮闘する姿やキャンプならではの食事風景は見ているだけで楽しく、夜の静寂に輝く星空は美しく、自分も一緒にキャンプに行ったような気持ちにさせてくれます。

また、「見返し」の絵もとてもかわいらしいので、ぜひ見てみてくださいね。

 

家族以外の人と接することも増えてくるこの年代のお子さんにそっと寄りそい、キャンプという非日常の体験をとおして成長していくなほちゃんに、共感したり、勇気をもらえたりして楽しめる1冊です。

ぜひ、ご覧になってみてください。

(担当:N)

 


『はじめてのキャンプ』

 林 明子/作・絵
 福音館書店

「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース  ▶「小さいさくらんぼコース」(およそ5~6才)

 

 

 

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