半夏生 7月1日
今年は、7月1日が七十二候のひとつ「半夏生」です。
七十二候とは、太陽の動きをもとに、1年を二十四の季節に分けた二十四節気を、さらに初候、次候、末候と3つに分けたもので、「半夏生」は「夏至」の末候にあたります。
古くから、この「半夏生」は、農家の人たちが田植えを終えたあとに休息をとる日とされ、栄養のある食べ物を食べて、労働で疲れた身体をねぎらってきたそうです。今でも関西地方ではタコを食べる風習があり、苗の根がタコの足のようにしっかり大地に根づき、豊かな実りになるようにという願いが込められているといわれています。ほかにも、収穫した小麦でつくった団子や、焼き鯖、うどんなど、地域によってさまざまなものを食べる風習が残っているのだそう。
先人たちは自然の恵みに感謝しながら、季節のうつろいをこまやかに感じとり、そのときそのときを、心豊かに楽しんでいたことがわかります。私たちは便利な時代を生きているがゆえに、気づけないこと、見落としていることが多いのではないでしょうか。
私も新しい季節の訪れに気づき、新たな発見を小さなよろこびとできるようになりたいと願います。そして、私たち人間は大いなる自然に生かされていることも忘れず、謙虚な気持ちで日々を送ることができたら、と思います。
さて、夏至は、じつは世界では、日本以上に人々に親しまれています。白夜で知られるフィンランドやスウェーデンなどでは、朝まで盛大に夏至まつりが行われるそうです。
私たち「童話館ぶっくくらぶ」でにんきが高い『リーサの庭の花まつり』(「小さいみかんコース」およそ7〜8才)も、草花たちが夏至の夕べに花まつりをするようすを描いた絵本です。
村の夏至まつりに行くことを許してもらえなかったリーサが庭に座っていると、そこに「夏至の精」があらわれ、リーサを庭の花まつりに誘います。花のしずくをまぶたに垂らしてもらうと、リーサにも、草花たちが動きまわるようすが見えるようになりました。
花まつりでは、ばらの女王のもとに、しゃくやく夫人たちやライラックの娘たち、男爵のくるまゆり、騎士のイリス、そしてちいさくてかわいいひなぎくたちが集います。そのほかにも草原や森、水辺からのお客さまや、元気で陽気な雑草たちも登場します。
美しく、それぞれの個性をいかしたイラストとファンタジーの世界にひきこまれ、まるでリーサと一緒に花まつりに参加しているような気持ちになれます。
1年でもっとも日が長く、夜が短い夏至の夜に、身近な自然の恵みにふれたり、感謝したりするとともに、この絵本をひらいて、草花たちの世界をのぞいてみませんか。
(担当:U)
『リーサの庭の花まつり』
エルサ・ベスコフ/作・絵
石井 登志子/訳
童話館出版 ▶詳しくみる
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「小さいみかんコース」(およそ7~8才)
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