隣の芝生は青い、というけれど・・・
11月22日は「いい夫婦の日」!
そんな日に、おすすめしたいのがこれ。
『しごとをとりかえただんなさん』です。
あるところに、おひゃくしょうの若い夫婦がくらしていました。ある日、だんなさんは、自分の畑仕事が、おかみさんの家の仕事よりもたいへんで、おかみさんはらくをしていると主張します。そこで、ふたりは仕事を交換してみることに…。
ところが、だんなさんは、オートミールの入ったボウルを割ったり、りんご酒のたるのせんを閉めわすれたり、やることなすこと失敗ばかり!そして…。
さて、いかがでしょう?
だんなさんの、「自分ばっかりたいへんで、相手やほかの人はらくをしている」という気持ちは、きっと多くの人に身近な感情ではないでしょうか。
「おれのほうが疲れている!」「わたしだってたいへんなの!」そんな言い合いをしたことがある、という人もいるでしょう。
でも、このお話のテーマは、少し違うようです。
この絵本で注目したいのは、ふたりが仕事を交換してみた結果、おかみさんは、だんなさんの外の仕事を案外そつなくこなしてしまうのに、だんなさんは家の仕事がちっともできないところです。
これは決して、おかみさんやだんなさんの能力の問題ではありません。
そう、これらは、地味で、評価されにくい仕事こそ、案外、むずかしくて、重要であることをそれとなく語っているのです。
そして、その「地味で、評価されにくい仕事」の代表こそが「家事」ということなのでしょう。
「ノルウェーの昔話」というくらいですから、今も昔も、どんな国でも、家事や子育てがあまり評価されてこなかった現実も見えてきますね。
夫婦にかぎらず、親子、仕事上のパートナー、同居人、どんな関係であっても、見えないけれど確かな仕事を尊重する、そんな小さな思いやりの気持ちを忘れないでいられたらきっと、「だんなさん」のように、痛い目にあわずにすむのかもしれません。
いずれにしても、いつも、家事や子育てをしている人にとっては、スッキリする一冊だと思います。ぜひ、この機会にどうぞ!
(担当:C)
『しごとをとりかえただんなさん』
さく ノルウェーの昔話
え ウィリアム・ウィースナー
やく あきの しょういちろう
童話館出版 ▶詳しくみる
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「大きいさくらんぼ」(およそ6~7才)
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