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幸福の日

 

5月29日は、語呂合わせで「こ(5)うふ(2)く(9)」と読めることから、「幸福の日」と言われています。

「幸福」とは「しあわせ」のことですね。皆さんはどのようなときにしあわせを感じますか?

おいしいものを食べたとき、思いがけず友人に出会ったときなど、いろいろと浮かびますが、晴れた日の朝にカーテンを開けた瞬間の気持ちよさ、玄関からでて庭の花がかおったとき、夜、部屋を真っ暗にしてふとんに横になる静かな時間など、暮らしのなかで、なにげなく自然とふれあう一瞬にもしあわせがあるのではないでしょうか。

忙しい毎日のなかでは見落としてしまいそうなささやかなものですが、絵本の定期便「童話館ぶっくくらぶ」には、そんなふうに私たちのそばにある自然のめぐみに目を向けさせてくれる絵本があります。

 

そのなかの1冊が『あなたがうまれたせかい』(「小さいくるみコース」およそ3〜4才)です。

「あなたがうまれた せかいは、すてきなところです。」という一文からはじまり、やわらかな朝日、雨つぶ、風、夜の闇などが、犬に、小鳥に、トラックに、そして私たちに、絶えず降りそそいでいることが語られます。そして、「そうです。あなたがうまれた せかいは、こんなに すてきなところです。」と締めくくられます。 

最近読んだ、『こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方』(養老孟司、中村桂子、池澤夏樹、春山慶彦/著 集英社)という書籍の一節にこのような言葉がありました。

「自分のいのちが祝福されている実感が得られることも、自然経験の大事な点です。役に立つかどうかではなく、存在として自分はここにいていいのだという実感が自然経験を通して得られる。〈中略〉こうしたいのちの原初的な感覚は、生きることを尊いものにしてくれます」
これを読んだとき、すぐに先ほどの『あなたがうまれたせかい』のことが思い浮かびました。

自然経験といっても、けっしておおげさなものではなく、実は身のまわりにもたくさんの自然があるということはこの本でも語られますが、太陽の光や雨や風はいちばん身近な自然ではないでしょうか。そして、そんなふうに分け隔てなく降りそそぐ自然のめぐみのなかに身を置いていると実感することは、世界に受け入れられ、愛されている感覚にしてくれるように思います。

なかなか意識できないことですが、そんな当たり前にある豊かさを、私たちの暮らす世界は「すてきなところ」といって示してくれる絵本に出会えることもまた、しあわせなことかもしれません。

 

さて、先ほど取りあげた『こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方』は、今年の夏の企画パンフレットでご紹介予定です。このパンフレットは、日ごろの配本ではご紹介できない自然科学、工作、社会、身体などの分野を補う役割があり、とても喜んでいただいています。「ぶっくくらぶ」会員の皆さんは楽しみにお待ちいただければさいわいです。そして、「ぶっくくらぶ」会員ではない方は、この機会にぜひご入会を検討いただければうれしく思います。

(担当:D)

 


 

 『あなたがうまれたせかい』

 ウィリアム・ホール/ぶん
 ロジャー・デュボアザン/え
 ほしかわなつこ/やく

 童話館出版

 「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース  ▶「小さいくるみコース」(およそ3~4才)

 

 

 

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