1年生になったら… Y家の場合
「ぞうの本屋さんブログ」にたびたび登場してくださっているY家の娘さんが、この春、1年生になられます。そこで、小学校入学を間近に控えたYさんに、親の心境や娘さんのようすを綴っていただきました。
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「今日はこの本がいいなぁ」娘が寝る前の読み聞かせに選んだ絵本は『わたしようちえんにいくの』。「この絵本は…」と、とても懐かしい気持ちになって読み始めました。
娘は今年の3月で幼稚園を卒園し、春からいよいよ小学生になります。ランドセルを一緒に選びに行った日から、自分が小学生になることをなんだか誇らしく感じているようすです。
この絵本は、数年前、幼稚園に通い始める娘へ、と私の友人からもらったプレゼントでした。もらったその日に早速読んであげたのですが、読み始めたとたん、私の胸が苦しくなり、声が詰まり、涙声を隠すのが必死になるほど。どんなときも自分の手を放さずにいた娘を他人に預ける不安、離れていく寂しさ…。自覚してはいなかったけれど、胸の奥に押し込めていた気持ちがこの時目の前にパッと現れた感じでした。
「この子はうまくやっていけるのかな?楽しんでくれるかな?泣いてしまうのではないかな?」
娘も絵本のなかのシーンでお母さんが帰ってしまう場面があり、「なんでお母さん帰っちゃうの?」と心配そうに聞いてきたりもしました。数年経って改めて絵本を開くと蘇ってきたのは自分のあの頃の不安な気持ち。
でも…振り返ってみれば娘も私も卒園するのが寂しくなるほど、充実したし、大切に育ててもらえた幼稚園生活でした。「今度もきっと大丈夫!」絵本にポンと背中を押されたような気がした夜でした。
娘はといえばちょっと寂しい私とは対照的で、すでに4月からの小学校生活に思いを馳せているようで…
「絵本が大好きな子いるかな?オーランド―とか知ってるかな?」
「小学校に入ったら、図書室の本を全部読みたいな」
「小学校でも誕生会とかするのかな?」
「お友達、100人は多すぎるから10人ぐらいでもいいな~」
など、いろいろ思い描いているようす。
お祝いでいただいた名前入りのえんぴつを引き出しからだしては、眺めてはまた引き出しに大事にしまっていたり、新しいシューズを家のなかで何度も履いては走れるか試してみたり。
そんなようすを見ながら「あぁ、小学校に行くことをとても楽しみにしているんだな、嬉しいな」と娘の成長を頼もしく感じました。
そんななか、2月に配本された絵本は『こんにちはといってごらん』。
この本が娘の今の心境にとてもハマったようで、届いたその日から毎日、読み聞かせの本に選んでいました。「わたし、書けるわ!」とヴァネッサが勇気を出すシーンがお気に入りのようで、その言葉を真似して話してみたり(笑)。
一歩踏み出そうとするこの季節に届いた本、やっぱり「ぶっくくらぶ」の配本はよく考えられているんだね、と夫と話したりしました。
小さい頃から絵本がそばにある生活をしていて一番よかったなと思うのは、どんなときも絵本が、そして絵本のなかの登場人物だちが、娘の味方でもあり、心を支えてくれていること。親としてもとても力強い存在です。
娘にとっても芽吹きの春。これからいろんなことに出会い、どう感じていくのか、娘の成長を楽しみにしつつ、寄りそっていきたいと思っています。
『こんにちは と いってごらん』
作 マージョリー・W・シャーマット
絵 リリアン・ホーバン
訳 さがの やよい
童話館出版 ▶詳しくみる
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース
▶「大きいさくらんぼコース」(およそ6~7才)
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