【いま、この本を】童話館出版新刊『こひつじクロ』
童話館出版の「緑の原っぱシリーズ」に新しく仲間入りした作品です。
「童話館ぶっくくらぶ」では、およそ7〜8才の「小さいみかんコース」にラインナップされています。
【あらすじ】
真っ白な羊の群れの中に、1ぴきだけ黒い羊「こひつじクロ」がいました。
どんなときでも目立ってしまうクロは、羊飼いのおじいさんに「白くなりたい!」とお願いしますが、おじいさんは「そのままがいちばん」と相手にしてくれません。
そんなある日、ひどい嵐がやってきて、羊たちがみんな迷子に!
そして…。
「集団のなかに異質なものがひとり」
絵本にかぎらず、物語にありがちなモチーフのようですが、この作品はそれだけにとどまりません。
登場人物(動物)の心情や行動にリアリティーがあり、読むタイミングによって、それぞれの立場に自分自身を重ねながら楽しむことができますし、
それに何より、ひつじたちを見守る、愛あふれるおじいさんの態度がまたすてきなんです。
ぜひ、お手にとって、読んでみてください!
子どもたちにも時折おとずれる、
「みんなと同じでありたい」
「いっしょでありたい」
「自分だけ違うのはイヤだ」
という気持ちに、そばにいる私たちはどんな言葉を語りかけるでしょうか。
どんな態度でいるでしょうか。
おじいさんのように「そのままがいちばん」と、心の底から言ってあげられたら…、
と思いますが、現実ではなかなかむずかしいときもありますね。
そのためには、きっと、私たち大人こそ、さまざまな価値観から自由でいなくてはならないのだろうと思います。
この作品は、絵本のように読んであげてももちろん楽しいのですが、同時に、子どもがひとりでも読めるような工夫があちこちに施されていますので、「絵本」から「読み物」への橋渡しにもピッタリです。
「そろそろ、一人でも…」
「小学校にはいって、最近ぜんぜん読まなくなったなあ」
という方がいらっしゃいましたら、ぜひご活用ください。
日本語訳をしてくださったのは、「ゆりよう子」さん。
巻末のプロフィールを見ると、「カエルが好き」と書かれてあります。
皆さんも気になりませんか?
私も、個人的には、原稿がはいってきた時からずっと気になっていたものの、
わざわざお尋ねするほどのことでもないような気がして、そっとしていたのですが、
作品が完成してお礼のメールをした際に、思い切ってお尋ねしたところ、
そのお人柄や感性が伝わってくるような、お返事をいただくことができました。
冬の庭を掘り返していて、トウキョウダルマガエルを起こしてしまったり、
島の誘蛾灯の下で、まあるく円を描くように並ぶカエルサークルに出くわしたり、カエルは、心をはずませてくれます。
コロナの間も、ふしぎなことが。
ある晩、仕事から帰ると玄関のドアノブにアマガエルが。
ずいぶん、むずかしいところに飛び乗ったものです。
「いちどやってみたかったんだよな~」(カエル談)でしょうか。
いかがでしょう?
そういえば、最近他にも、「ゴリラが好き」「ダチョウが好き」と言う方に出会う機会がありました。人それぞれ思いを寄せているもののお話を聞かせてもらうのはとっても楽しい瞬間ですね。
さて、そんなゆりよう子さんも、翻訳と言う形で参加してくださっている「こひつじクロ」のお話をぜひお楽しみください。
『こひつじクロ』
作・絵:エリザベス・ショー
訳:ゆりよう子
童話館出版 ▶詳しくみる
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース
▶「小さいみかん」(およそ7~8才)
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