祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

『大きくなるってこんなこと!』

 

「おおきくなったねー」と子どもによく言います。

ちいさいぼうやは、大きくなる日を心待ちにしています。

 

子どもの表情が、とてもかわいい絵本。

「大きくなるってこんなこと!」評論社
ルース・クラウス(作)ヘレン・オクセンバリー(絵)山口文生(訳)

 

雪がふっているころ、

とっても ちいさい

ぼうやと、こいぬと、ヒヨコたち。

 

春がきて、草木に わかばが かおをだし、

ひるが だんだん ながくなり、

ヒヨコも こいぬも 大きくなった。

 

「ぼくも 大きく なるのかな」

「もちろんよ」と、おかあさん。

 

かじゅえんの ナシの木が 小さな実をつけ、

トウモロコシは きぬ糸みたいな ひげをだす。

ヒヨコは ぼうやの ひざより、

こいぬは ぼうやの こしより 大きくなった。

 

「ぼくも 大きく なるのかな」

「もちろんよ」と、おかあさん。

 

夏が過ぎ、このはが 赤や 黄色や 茶色にかわり、

ヒヨコは ニワトリになって、こいぬは おとなのイヌになった。

ぼうやは ニワトリや イヌを見て、

「きみたちは ちゃんと 大きくなった。ぼくは 小さなままだ」

 

空気が冷たくなって、おかあさんが、

去年きていた あつでのふくを だした。

ぼうやは、かがみのまえで、あつでの ずぼんを はいて・・・

「このずぼん、ぼくには きついし みじかいぞ」

あつでの うわぎを きて・・・

「このうわぎ、ぼくには きついし、そでも みじかい」

 

「うわーい!」

ぼうやは よろこんで にわにでて、

くるりと ちゅうがえり。

 

「ぼくは 大きく なったんだ」

 

ぼうやの嬉しさが、はじける笑顔とともに 伝わってきて、

こちらも思わずニッコリしてしまいます。

 

Ⅰでした 🌷