祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

ひろすけ童話

先日、お客様から「『こざるのぶらんこ』ありますか?」と

お尋ねがありました。

久しぶりに聞いたタイトルに、思わず

「『ひろすけ童話』ですよね!?」と興奮!

そんな訳で、里帰り時に、実家の本棚から

取り出した古い童話集がこちら↓

「ひろすけ童話」小学館※絶版 浜田廣介・著/坂本健三郎・他・イラスト

子どもの頃に繰り返し読んでもらった、

めでたしめでたしで終わらない、童話たち。

あの後、主人公たちはどうしたんだろう?と、

今でも妙に心に余韻が残る、

日本のアンデルセンと言われた浜田廣介さんの

童話集より、4つのお話をご紹介します☆

 

「ないたあかおに」

人間と仲良くなりたい、生真面目な赤おにの為に、

青おには、自ら悪役を買って出ますが・・・。

浜田廣介さんの代表作ですが、

子ども心に、最後に親友の青おにが姿を消すのは、

逆に、赤おにに辛い思いをさせるんじゃ?と、

どうにも納得がいかなかったのを覚えています。

赤おにのモデルは、高野山の金剛峯寺にある、

運慶・作の木彫りの童子像だそうです。

青おには、今でも赤おにの幸せを願いながら、

旅をしてるのでしょうか。。。

 

「むくどりのゆめ」

1枚の取れかかった枯れ葉に、

帰ってこないお母さんの面影を委ねる、

むくどりの子の姿を描いた、

静かで抒情的な冬のお話。

何度読んでもらっても、

当たり前ですが、お母さんは夢でしか現れず、

何とかハッピーエンドにならないかと、

毎回願っていました。

巣の中で繰り返される、むくどりの父子の会話が

ほっこりしていて、切ないです。。。

 

「みみずくとおつきさま」

というタイトルですが、

主人公は、月夜に集まって真面目に

学校ごっこをするモグラたち。

邪魔するイタチに、制裁を与えるミミズク、

全体を見下ろすお月さま・・・と、

他の作品とは違うシュールさが好きでした。

珍しく、きっぱりした結末があるお話です☆

 

「こざるのぶらんこ」

自分のぶらんこを肩から下げて、

山火事から逃げる こざるは、

途中で、足の悪いおばあさんねずみや、

目の見えない小モグラを助けますが・・・

助かる予感を感じさせつつも、

ぶらんこで谷を越えようとするところで、

物語は、終わります。

えー!?ここで終わり??

先に逃げたお父さんお母さんに

出会う場面まで描かないの!?・・と、

今でも、その後が気になって仕方ない、罪な作品。。。

 

子どもたちの心に、知性より先に感性を・・

と願った浜田廣介さん。

その美しい情感にあふれる語り口を

(欲求不満を覚悟で?)ぜひ体感してみてください!

きっと、どこか懐かしい日本の匂いがしてきます。。。

 

手製のいすとおいしいお菓子とお茶でもてなしてくれる、赤おにの茶会に一度行ってみたいFでした♪