祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

みしのたくかにと

「みしのたくかにと」
松岡享子 作 / 大社玲子 絵
(こぐま社)

 

 

がんばりやさんの王子さま。

本を読んでいただいたらわかるのですが、この王子さま

本当にすごくすごくがんばってました!

そして、

そのせいでちょっぴり疲れてしまいました。

これも本を読んでもらったらわかるのですが

全然わがままなんかじゃないんです。

すごくすごく、

おえらい大人たちに寄ってたかって

がんばらせられすぎちゃったんです。

 

疲れちゃった王子さまはこういいます。

もうごはんなんか食べないッ!

 

「いなれしもかおがさあ、

 いなれしもかかいす、

 みしのたくかにと」

「ぼく、それなら食べる、

 ほかのものはぜったい食べない」

 

大臣も、おおぜいの先生も、うばも、お医者さまも

りょうりばんにもそれが何なのかわかりません。

 

すっかり困ってしまった大人たちに

「ぼく知ってるよ」と教えてくれたのは小さなおとこのこ。

きっと王子さまとおなじくらいの子どもだったんじゃないかと思います。

 

そして、いちばん大事な

「みしのたくかにと」を食べるときに

絶対まもらないといけないきまりを教えてくれたのは

「みしのたくかにと」の種を蒔いて育てたふとっちょおばさん。

 

さあさあ、

たいせつなそのきまりをまもって

みしのたくかにとのパイを食べた王子さまはどうなったと思います?

 

もちろんお話としてどうなったのかは文章で書いてあるのですが

最後のページの挿し絵を見た瞬間、私は

「よかったねー--!」って

大きな声を上げたくなってしまいました。

 

最初のほうの挿し絵で

ゴージャスな服を着て立派な玉座に座って

ゆううつそうな表情をしていた王子さま。

最後のページを見たらきっとあなたも

「これ絶対王子さまだよね!?

 うわぁ、よかったー!」

そう云っちゃうと思います。

 

そして、きっとあなたも私もみんな

パイが食べたくなりますよ。

 

 

[スタッフ🌱FK]