祈りの丘絵本美術館ブログINORI-NO-OKA Picture Book Museum BLOG

イギリスの中学校生活!

本日、ご紹介するのは

いつも 書店に置いている本 ではなく

児童書 でもないのですが、

最近 読んだ中で 1番面白かった本♪

(出版は、2年前です)

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
新潮社
ブレイディみかこ・作

アイルランド人と結婚して、イギリスに住む お母さんが、

息子の 中学校生活を通して 考えたこと、

感じたことを 綴った ノンフィクション。

 

ピーター・ラビットが出てきそうな

穏やかな カトリック系小学校から、

さまざまな環境の 生徒の集まる 地元の

元・底辺中学校へ 進学したことが きっかけで、

親子の毎日が 一変!

 

ミュージカル「アラジン」を 演じたり、

部活でバンドをしたり、低所得者へのボランティアをしたり、

格差のある学校同士の 水泳大会に出たり・・・

11歳の「ぼく」の 体験を通して 見えてくる、

いじめ、貧富の差、人種間の差別、ジェンダー、EU離脱派vs残留派・・・

まるで 世界やイギリスの 社会問題の縮図のような 学校生活🗺

 

階級や多国籍人種、EUとの関係など、

日本とは また違う 問題を抱えた イギリスの現状も よくわかるし、

そこに実際に暮らす いくつかのルーツを持つ子どもたちの

アイデンティティの 捉え方も リアルに描かれていて、

(ハーフという言われ方は あまり 好きじゃない、どちらかと言えば ダブルの方がいい、とか、サッカーW杯熱で 急に民族主義に目覚めたかと 心配していると、「カラテ・キッド」シリーズの ミスター・ミヤギに 日本のおじいちゃんを重ねて 全作観るという 思いもかけない方向へ行ったり・・とか)

いろいろな問題に ぶち当たりながらも、大人の想像を 越えて

成長していく 子どもたちの 感性に 目が離せません。

 

特に、興味深かったのは、「ライフ・スキル教育」という

授業で 習う、シンパシーとエンパシーの違い について。

どちらも 和訳は「共感」なのですが、

シンパシーは、自然に湧き出る感情的なもので、

その理解や共感は、同情や友情に近く、

エンパシーは、「誰かの靴をはいてみること」

つまり、想像力で共感する いわば能力に近いもの。

確かに、11歳から エンパシーの授業を受けていたら、

自分と違う環境の人への 理解や思いやりを 鍛えられる?かも。

 

音楽好きで元保育士の さばさばしたお母ちゃんと、

迷ったり悩んだりしながらも、意外と たくましく

軽やかに前を向いて進んでいく 息子の 日常に、

何だか こちらまで 勇気をもらえるような、

でも、同時に 考える課題ももらったような、

また 読みたくなる本です!

 

この本の中で、イギリスで 保育士が 子どもたちへ よく

読み聞かせするという 絵本が3冊 紹介されているのですが、

定番の「はらぺこあおむし」「かいじゅうたちの いるところ」

の他に、面白そうな もう1冊が・・!

また後日、ご紹介します~☆

 

スタッフF