かつて空を旅した船 - 飛行船の日 1月22日
新年を迎え、早1ヶ月。ここ長崎でもめずらしく、雪が積もった日もありました。寒いなか、少しだけ積もった雪をすくい、子どもと小さな雪だるまを作ったり、アイス屋さんをしたりと楽しみました。今日も窓の外は北風が吹いてどんよりした曇り空です。
そんな冬空の1月22日、国産飛行船「雄飛(ゆうひ)」の実験飛行が行われました。1916年(大正5年)のことです。長さ75m、幅25mの「雄飛」は空へと飛び立ち、11時間34分という長時間にわたる埼玉から大阪までの初飛行(途中愛知県豊橋市へ燃料補給のため着陸)を無事に成功させました。このことを記念して1月22日は「飛行船の日」として制定されています。
飛行船は、空にぽっかりと浮かぶ大きな機体ですが、今となってはあまりなじみはありません。長崎の空でも何度か広告のために飛行船が飛んでいるのを見ましたが、見慣れない大きさについつい「こ、怖い…」と思ってしまいました(笑)
そんな飛行船がでてくるお話といえば、もちろんこの絵本!『かぼちゃひこうせん ぷっくらこ』です。
娘もこのお話が大好き!「飛行船がでてくるお話といえば?」と聞くとすぐに「それはもちろんあれでしょ?『かぼちゃひこうせん ぷっくらこ』でしょ!」と楽しそうに答えてくれました。
この絵本は本当に何度も何度も娘に読んであげました。娘の身体にもお話が染み込んでいるのか、絵本のなかのセリフを日常会話で使う率も高めです(笑)
「おおくまとこぐまは ともだち。
ごちそうは ありのたまごと はちみつでした。」
2匹の仲良しのくまがごちそうのなかに入っていた小さなタネを見つけたことからこのお話は始まります。タネを植えようと外を見るとなんと雨。がっかりするこぐまくんにおおくまくんはこう言います。
「あめも また たのし、かささせば……」
傘をさしながら2匹が植えたタネは芽をだし、どんどん大きくなっていき、ついには家も押し潰しそうなおおかぼちゃになりました。そこで、2人はかぼちゃのなかに住むことに。
かぼちゃの中身を確認しようとのぞいたこぐまくんは、なかは空っぽで底には水が溜まっている、と残念がります。その時またおおくまくんがこう言います。
「みずも また たのし、ながぐつはけば……。
まどを つくれば、なお たのし」
このおおくまくんの視点の転換、発想の転換を子育てのなかでずいぶんだいじにしてきたような気がします。マイナスなことがあったとき、それをどうプラスにして子どもに渡せるか。言葉の力を使って、子どもの受け止め方を何とかよい方向に変えることができたら…。娘とこの絵本を読むたびに「この考えを忘れないようにしよう!」と何度も自分の心に言い聞かせたような…。
例えば、娘が算数のプリントを浮かない顔で持って帰ってきた日がありました。見るとやり直しがとてもたくさん(笑)時間内に終わらなかったので宿題になったと何だかしょんぼり…。私は心のなかで「ぐぬぬ…」と思いつつ、頭を切り替えて…
「でもこれだけやり直しをしたら、きっともっとわかるようになるよ。今、わからないことがわかってよかったね」、そう伝えると「そっか」と呟き、ちょっと嬉しそうにして、前向きにやり直しに取り組んでいました。
同じ出来事でも、どう捉えるかは本人の受け取り方次第。これから先、突き当たるであろう大きな壁も、そのままではなく、その先にある光を感じて受け止めてほしい。そうあってほしいと願いつつ、まだまだ私自身も発想の転換を訓練中です。
おおきなくまは きんのかさ
ちいさなくまは ぎんのかさ
この名フレーズも少しずつ言葉を変えて繰り返されるので、すっかり覚えてしまって娘がその言葉を言いだすとついつい私も一緒に唱えてしまいます。
「本を読んでいたら、心と頭がぽっかりと他の世界に行くみたいなんだよね〜」とは、すっかり本の虫になっている娘の言葉。渋滞にはまってしまい、焦る私に「でもいいじゃない。曲でも聞いてのんびり行ったらいいじゃない?」と言ってくれるようになりました(笑)
かぼちゃひこうせんは……、
いるかいないか わからない
ふしぎなくまを のせながら
ぷっくらこぉ ゆったりこ
かぼちゃひこうせんに乗ったつもりでゆったりと、絵本の世界を楽しんでくださいね。
(担当:A)
『かぼちゃひこうせん ぷっくらこ』
レンナート・ヘルシング/文
スベン・オットー/絵
奥田 継夫 木村 由利子/訳
童話館出版 ▶詳しくはこちら
「童話館ぶっくくらぶ」での配本コース ▶「大きいくるみコース」(およそ4~5才)
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